――― 屋久島縦走歩き vol.2の続き ―――
《屋久島縦走 三日目》
3月20日(金曜日)のこと。お天気は朝からスッキリ晴れてくれてもう感無量♪♪♪
昨夜眠りについてしばらくすると、沢の流れる音で目が覚めました。けれどその音が雨が降る音にも聞こえ、気が気じゃないまままた眠りにつき、トイレに起きた朝5時の空模様は、なんと雲ひとつ無い青空を予感させてくれるほどの星空だったのです。
三日目の屋久島の山。これは大きな期待が持てる山行と相成りました。
〈ローソク岩展望台〉
6時30分、お世話になった『鹿之沢小屋』を出発。標高差300mを登り返し、先ずは『永田岳』を目指します。前日は雨とガスで幻想的な景色を見せてくれたローソク岩の岩稜も、晴れた日に見ると見方が変わり、何だか昨日の方が雰囲気良かったねと無いものねだり。あのときの暴風雨にさらされた辛い思いだなんて何処へやらだ。
ところで辛かった前日は、全く素晴らしい景色を見られなかったことにびっくり仰天だ。遠くに見える白い筋のようなものが波だと分かり、さらにびっくり仰天だ。これぞ洋上アルプスの景色なのだろう。これから先に見る景色に心躍ります。
〈永田岳 山頂〉
『永田岳』の山頂直下でザックをデポし、身軽になって岩の山を登ります。標高は1886mで屋久島では第二の高峰。ぐるりと見渡せる“パノラマの景色”がとても美しかった。特に海が見える景色はやはり素晴らしいものがある。大きな花崗岩の岩がごろごろあるのにも目をみはる。永田岳では30分ほど留まり大満喫。
〈宮之浦岳 方面〉
そう云えば、屋久島観光協会で色々と助言をくれた方の“永田岳推し”があまりにもスゴくて笑ってしまった。宮之浦岳はただの通過点、その先にある永田岳こそ屋久島を象徴する山なので、是非とも登ってきてくださいと推されては登らない訳には行きません。その方の言葉の通り、永田岳は本当に素晴らしかった。ありがたい。
〈独特な山容の、永田岳〉
〈凍った地面、まるでスケートリンク〉
〈白い地面が、平石〉
〈平石岩屋〉
さて焼野三叉路まで戻ってきたら、平石、平石岩屋と歩いてゆきます。途中、凍った地面があったりして昨夜の気温の低下が見て取れます。風が本当に強かった。顔に見える岩がたくさんの平石岩屋の下には祠があり、この山行の安全を祈願して先へ進みます。
展望が良好なところではたくさんの小休止。この日のCTは目的地までかなりの余裕があったため、後悔などしないように廻りの景色をしっかりと目に焼き付けて歩いてゆきます。口永良部島や種子島、遠くには鹿児島半島の先端まで見えてヨメ氏と二人で盛り上がる。
〈ビャクシン岳〉
シャクナゲの森を抜けビャクシン岳(坊主岩)を過ぎて第二展望台を通過して第一展望台まで歩いてくると、新高塚小屋まではあと30分ほどの道のりです。ここまでの稜線歩き、歩きやすくって景色が良くってとても気持ちの良い登山道でした。青空の下を歩けるだなんて前日までの激しい雨がまるで嘘のよう。
〈新高塚小屋 ウッドデッキのテント場〉
〈新高塚小屋〉
〈新高塚小屋 室内〉
〈新高塚小屋 水場〉
〈高塚小屋〉
新高塚小屋では、まだ誰も居ない小屋の中を見学し、綺麗なトイレを借りて、水場で水を3L汲んで、この日の目的地『高塚小屋』へ向かいます。緩いアップダウンを繰り返し歩いていると、およそ1時間で高塚小屋へ到着。2階の隅に就寝スペースを陣取り、まだ空いているであろう『縄文杉』へと向かいます。
〈真後ろが縄文杉〉
〈縄文杉〉
〈呑み過ぎ〉
高塚小屋からは歩いて10分ほどの距離に『縄文杉』はあります。今はもうしっかりとした展望台と木の柵によって、縄文杉の直近までゆくことが叶わないんだけれど、それでも遠目から見ても縄文杉の大きさはよく分かります。ひとしきり縄文杉との時間を楽しんだら、さっさと小屋へ戻りビールで喉を潤します。
〈ワインを瓶で持ってくるツワモノ〉
〈立ち呑みスタイルのツワモノ〉
この日は年齢の近い呑兵衛カップルと盃を交わし、楽しい屋久島の時間を過ごします。永田岳からの帰りに出会ったソロのお若い女性が隣の寝床。またフランス人の若いカップルとも交流したりして、とても思い出深い良い“いちにち”となりました。
夕方にも再度 縄文杉へ訪れて、夕焼けの顔はどんなものなのかを見に行きましが、大して変化もなく水を汲んで早々に退散。そして小屋ではまた時間と酒の量がゆるす限り、宴会が続きます。
〈ウッドデッキのテント場〉
〈地面のテント場〉
20日(金曜)の高塚小屋は、1階~3階までの収容数15人のところ、17人の登山者が寝床をともにしていました。結構ぎゅうぎゅうでした。外のテントスペースにもところ狭しとテントがぎゅうぎゅう詰め。三連休はこんなところまで混むのだなと改めて驚いた。翌土曜のことを考えると少し怖い。(~_~;) トイレは少し離れたところに一箇所だけあって、とても綺麗で良かった。何よりも洋便器だったのが使いやすくて良かった。
因みに今回持参してきた酒とつまみの量が完璧だったことに驚いた。今回もオーバーウエート気味の酒とつまみではありましたが、酒一滴柿ピーの一粒まですべて平らげてからお開きとしたこと、ヨメ氏の読み通りであったことがスゴい。
■三日目ルート:〔鹿之沢小屋 06:30 → 永田岳 07:50 → 焼野三叉路 09:30 → 平石岩屋 10:20 → 第二展望台 11:30 → 新高塚小屋 12:10 → 高塚小屋 13:30〕
《屋久島縦走 四日目》
3月21日(土曜日)のこと。この日もお天気は朝からスッキリと晴れ模様で嬉しい限り。
これはもしや!!と、急いで『縄文杉』へと向かいます。“朝焼け”の縄文杉狙いです♪
でもなかなか真っ赤になるまでの時間は許されず、この日のタイムスケジュールではなんとしても“13時45分”のバスに間に合わせたかったので、縄文杉の展望台を早々に出発。長~い階段を踏み外さないように降りてゆきます。赤い縄文杉がなんとも中途半端。(´Д`)
〈自然観察路〉
〈大きな切り株〉
そして夫婦杉、大王杉などの有名どころの屋久杉を観察したあとは、『自然観察路』の分岐を左へ入ってゆきます。次の目的地は“ウィルソン株”なので、山の仲間が歩いてきたように、ボクらも同じ道を歩いてウィルソン株まで進みます。この登山道がじつに良かった♪ そこかしこにウィルソン株のような大きな切り株があったのも楽しめた。Thanksチュチュさん。
〈ウィルソン株〉
さて本家の『ウィルソン株』へ。
ボクらが到着したときはまだ人はまばら。切り株の中で2~3人、にぎやかにあーでもないこーでもないしながら目当ての“♡マーク”を探してうろうろしてましたが、切り株から出た瞬間に目を疑った。あっという間に長蛇の列ができあがってました。(~_~;) まさにギリギリセーフ。
因みにボクの♡マークので出来栄えは70点ほどか。右側の丸みがいびつでまるでダメですね。涙
次はいよいよ“楠川分れ”まで長い『トロッコ道』を歩きます。
レールの間に設置された連続する“木床”歩きは気持ちが良くってたしかに歩きやすい。がしかし前方からくる観光客とのすれ違いに、ストレスが生じてかなり難儀しました。
お互いに“必ず”譲り合って左右のどちらかへ体を避ければ気持ちよく歩けるものを、我が物顔で避けもせず真ん中だけを歩いてくる人が多くてとても腹が立つ。ましてやガイドが居るにもかかわらず、話に夢中で譲り合う指示すら出さないのには本当に腹が立った。
とても気持ちの良いガイドさんがたくさんいる中で、こうした残念なガイドが少数いると、やはりかなり目立ってまいっちんぐ。トロッコ道は、観光客の少ない早い時間に歩くことを学びました。
〈楠川分れ〉
〈辻の岩屋〉
“楠川分れ”から楠川歩道へ入り、今度は『白谷雲水峡』を目指します。
楠川歩道にも幹の大きな屋久杉があって圧巻されます。岩がどかんと張り出した“辻の岩屋”にも圧倒されて、これはスゴいなと開いた口がふさがらない。
〈辻峠〉
『太鼓岩』には“辻峠”でザックをデポして空身で向かいます。
なるほどと思える素晴らしい景色が目の前に広がり、人気のポイントなのがすごく良くわかる。縦走最終日のこの日も本当に晴れてくれてラッキーでした。
苔の歩道、苔の森、苔の沢はどこも素晴らしく、何処を向いても苔だらけ。木の葉の隙間から落ちるきらきらの日差しが、苔へ当たるととても幻想的でファンタスティック。友人の“背景画家”に、この苔のシーンを是非とも描いてもらいたくなりました。
〈白谷山荘〉
“白谷山荘”を過ぎ、くぐり杉を抜けて、さつき吊橋を渡ったらもうこの山旅が終わるのも間近なのが分かります。バス乗り場は管理棟の前から。考えていたバスの時間よりも早い13:00時の便に乗れて、時間のロスも無く大変満足のゆく山旅となりました。最後の最後まで屋久島の深い森が楽しめて本当に何よりでした。
そして宮之浦港へ向かうバスの中で、屋久島観光協会で出した登山届の“下山報告”の電話をかけました。
「どうでしたか?屋久島の山は」の問いに、『ありがとうございました、感動しました!』と答えるのが精一杯。とても思い出深い山旅をすることができました。感慨無量です。(°∀°)
■四日目ルート:〔高塚小屋 06:00 → ウィルソン株 07:50 → 大株歩道入口 08:20 → 楠川分れ 09:40 → 辻峠 10:35 → 白谷山荘 12:00 → バス停 12:55〕
――― 終わり ―――
最高点の標高: 1941 m
最低点の標高: 614 m
累積標高(上り): 5283 m
累積標高(下り): -5693 m
総所要時間: 05:41:03
*
屋久島縦走歩き vol.1
屋久島縦走歩き vol.2
屋久島縦走歩き vol.3(終)
《下山後の話》
宮之浦港で予約してあった“レンタカー”をピックアップ。バスを乗り継いで宿へ向かうのでも良かったのだけれど、四日間の縦走でカラダが汗と匂いで※■▽☆+*✕□◆~_~; こんなときレンタカーはありがたいと思った。
縦走後に先ず向かったのは『尾之間温泉』のお風呂。捨て猫が居付いてしまったようで、ネコちゃんたくさんいました。猫好きにはたまらない温泉かも。入浴料が200円と格安。脱衣室あり。シャンプー、石鹸無し。シャワーも無いと思った方が良い。
地元人向けの温泉なので、ルールに従った方が良い。浴槽の縁の床に直接座ってカラダを洗う。髪の毛も浴槽縁で洗う。お湯はヌルヌルして最高の湯質♪ ものすごく気持ちが良い♪
屋久島の最終日に泊まる宿は『モスオーシャンハウス』としました。この宿も、屋久島に詳しい仲間の助言を参考にして決めた宿。ログハウスの母屋の目の前が海という素敵なロケーション。デッキテラスから見る屋久島の海とビールが格別でした。
反省点は、『携帯トイレ』を山中の携帯トイレブースで一回も使わなかったこと。
《屋久島山旅 費用》※二人分
・飛行機代:東京→鹿児島〔21,880円〕 鹿児島→屋久島〔26,400円〕/屋久島→鹿児島〔32,600円〕 鹿児島→東京〔59,880円〕 小計;140,760円
・宿泊費:エコホテルソラ 和室=9,600円/モスオーシャンハウス=26,400円 小計;36,000円
・レンタカー代:ワゴンR(軽自動車)を〔6時間〕と〔48時間〕のレンタルで≒15,000円
・羽田空港駐車場代:〔6日間〕の個室駐車場=18,000円
・上記旅費合計:209,760円
・その他別費用:75,000円〔タクシー代(エコホテルSORAからヤクスギランドまで5,100円)、バス代(白谷雲水峡から宮之浦港まで560円✕2人)、山中宿泊の屋久島山岳部環境保全協力金2,000円✕2人、登山用品代、飲食代など〕
・屋久島山旅費:284,760円
※3月の“春分の日”の三連休を行程に入れたため、飛行機代はその三連休最終日が高額。復路も平日だったらかなり安かった。羽田空港駐車場代は、個室じゃなければ“半分の料金”で利用ができた。
3月の“屋久島の山旅”は比較的空いているようで快適に山歩きすることができました。避難小屋を利用する縦走スタイルでは、ボクはもう空いている時期の空いている平日の屋久島以外は考えられません。次にまた屋久島へ訪れる機会があったら、また3月の平日狙いです。
因みに屋久島山旅の最後の最後、屋久島空港で“建築士の講師”の仕事をしていたときの生徒さんに会ったのには最高に驚いた( ఠ_ఠ )!