屋久島縦走歩き vol.2

――― 屋久島縦走歩き vol.1の続き ―――

屋久島縦走 一日目
3月18日(水曜日)のこと。いよいよ『屋久島』の山へ足を踏み入れる日だ。お天気は、曇のち雨。あまり芳しくない。

前乗りした宿へ予約したタクシーに6時30分ごろ迎えに来てもらうため、5時に起床し、毎日の日課となっているストレッチを始めて“うんち体操”を開始する。ボクは山歩きをする際、うんちが出ないと調子が悪くなって歩きに支障をきたすので、切実です。
因みに令和二年の元旦から、今年の目標に『180度の開脚』をかかげているため、ストレッチは最近特に時間をかけて入念にします。けどまだまだ先は長い。(´Д`)

 

タクシーに乗り込んだら前日に頼んでおいた“お弁当かもがわ”の『たけのは弁当』を受取りにゆきます。朝と昼のセットで800円。リーズナブルな価格で美味しい。何よりも竹の皮でお弁当を包んでくれるから、エコロジーでコンパクトになってとても良い。まさに山歩き向けのお弁当と思う。
そしてタクシー運転手のプチガイドを聞きながら、入山するための登山口となる“ヤクスギランド”へ向かいます。トイレを済ませ、身支度を整え、屋久島の山へ、いざ入山!

 

先ずはこの日一番の目的としている『大和杉』へ歩き始めます。
千年杉、仏陀杉、三根杉などを経由し、ヤクスギランドのよく整備された幾つかのコースを歩き渡り、“17番の標識”があるところから『花之江河登山道』へIN。

 

屋久島の森が何やらしっとりしていることを肌で感じます。早々に上着を脱ぎ、早々に朝弁当も食べて腹ごしらえ。そしてまた誰も居ない静かな深い森を歩いてゆきます。

 

ああ、、なんだ此、あまりにも気持ち良すぎるこの登山道。そんなことを常に考えながら、肩に食い込む重たいザックのことは考えないようにして、先へ進みます。

 

因みにこの日のザックの重さは完全にお酒でオーバーウエート。「山で呑むビールは何が何でも外せないし、屋久島で呑む三岳は絶対にマストだよ!」とヨメ氏に伝えた前日の夜。ヨメ氏がトイレに行っている隙にこそっと三岳のボトル二本を忍ばせておいたのは内緒の話。
屋久島は、水の豊富な島で本当に良かったと思っている。なんせ水の心配をしないで良いのが嬉しい。感激だ。

 

 

屋久島の森は、何もかもがスケールが大きく感じました。
例えばサルノコシカケ。ボクですら座れるほどに大きいの発見。それから屋久杉。樹齢1000年を超える杉が屋久杉にランクインされるようなのだが、あまりにも幹が太くてデカイ。いったいこの杉の大木は、樹齢どのくらい経っているのだろうかと思える杉がそこかしこにありビックリする。

 

そうこうして歩を進めてゆくと、とうとう待望の『大和杉』へ着いた。
樹齢は3000年とも4000年とも云われ、あまりにも大きくて、超感動する。大和杉のある花之江河登山道にはほとんど登山者が居ないので、じっくりゆっくり大和杉を見ることができた。近くに寄って見上げ、遠くに離れて再び見る。
木の柵で囲まれた縄文杉とは違い、今はまだ近くで見ることができる大和杉は矢張り迫力が違います。花之江河登山道を歩いてきて本当に良かった。

 

ところで、今回考えていた縦走路の北には“縄文杉”があり、そして南にはこの“大和杉”がありました。
洋上アルプスと云われる屋久島の素晴らしい稜線を歩くことが本来の目的ではありますが、それに伴って発生するこうしたモニュメント的な屋久杉が素晴らしすぎて涙もの。特に登山者以外の観光客があまり立ち入れないところは、当然ながら自然が成す造形が美しくて言葉を失います。

 

 

 

そんな、これまた感動した苔苔のビャクシン沢の渡渉ポイントでのお昼ごはん。苔むした岩場の上に置いたお弁当かもがわの『たけのは弁当』がよく似合う。その美味しさもさることながら、このロケーションがまた何倍も良い味にしてくれるのです。たまらん♪

 

そしてとうとう雨が降ってきます。大木の影に隠れてカッパ上下を着て雨仕様に備えます。入手していた天気予報よりもかなり早い雨でした。屋久島の天気はころころ変わると云われているようで、何やら嫌な予感。

 


〈みはらし台からの眺望〉

 


〈高盤岳の、とうふ岩〉

 


〈翁岳〉

絶景と云われていた『みはらし台』では、少々残念な景色でまいっちんぐ。まだガスっている訳ではなかったので稜線の景色は見えましたが、翌日歩く予定としていた稜線の景色は青空ではありませんでした。

 

 

そして本格的な雨となってしまった頃、一日目の終着点『石塚小屋』へ到着します。15時45分頃のことでした。
びっしょり濡れた雨具を脱いで干したら、石塚小屋の特等席を陣取り風呂敷を広げます。窓を開けて外を見ると、そこには屋久杉(?たぶん)がありました。それを見ながら呑む三岳のお湯割りが最高に美味しかった。

 

翌日以降のためにも、三岳はほどほどにしておきます。夜の小屋内の気温は5度でした。ダウン上下を着ていたのでそれほど寒くはありません。むしろボクにとっては快適な気温です♪

 

因みにこの日の石塚小屋はボクとヨメ氏の他にソロの男性が一人の計3人。酒はほどほどにしたはずなので、迷惑をかけていなかったことと祈りたい。

 


〈岩屋の下が、水場〉

それからトイレは小屋の裏手にあって近いのだが、水場が10分程歩いてかなり遠い。岩屋の下の溜り水から汲むので、浄水器を持参していると安心です。水は美味しい。

 

■一日目ルート:〔ヤクスギランド 07:00 → 大和杉 10:30 → ビャクシン沢渡渉地点 11:40 → みはらし台 14:25 → 石塚小屋 15:45〕

 


■縦走装備memo:
ザック(KLATTERMUSEN アルヴォーケル60L)、追加サイドポケット×2(12L)、ザックカバー(KLATTERMUSEN レインカバー)、ストック(ローカスギアCP2)、ヘッデン(ブラックダイヤモンド スポット 予備電池含む)、寝袋(mont-bell ダウンハガー800#3)、防水シュラフカバー(ISUKA ゴアテックスシュラフカバー ウルトラライト)※ヨメ氏のみ、エアーマット(mont-bell U.L.コンフォートシステムパッド120)、座布団(サーマレストZシート)、ダウンソックス(INTEGRAL DESIGNS ホットソックス)、ダウンパンツ(マーモット)、ダウンジャケット(Patagonia マイクロパフフーディ)、カッパ上下(THE NORTH FACE クライムベリーライトジャケット+mont-bell レインダンサー)、予備靴下(DARN TOUGH タクティカルT4033エクストラクッション)、予備ニット手袋(ミズノ ブレスサーモインナーニットグラブ)、ゴアテックス手袋(アクシーズクイン GORE-TEXストレッチシェルグローブ)、ネックゲイター(SmartWool メリノ)、膝サポーター(ザムスト ZK-7)、エマージェンシーセット、メスティン、火器(JETBOILミニモ)、ガス缶、チタンシェラカップ×3(ベルモント)、チタンシングルマグ×2(スノーピーク)、カトラリー(箸とスプーン)、iPhone X、充電器、小型LEDランタン(GOAL ZERO ライトハウス マイクロ)、トイレットペーパー、携帯トイレ、着替え、カメラ(CANON PowerShot G3X)、カメラレインカバー(mont-bell)、タオル(MOKUライトタオル)、手ぬぐい、ツェルト(finetrack ツエルト2ロング)、簡易アイゼン(mont-bell リバーシブル グリッパー)、ゴミ袋(mont-bell ガベッジバッグ

■共通装備memo:
プラティパス水筒(2L)、サブ水筒(0.5L)、ナルゲンボトル(1L×2個)、ナルゲンボトル(0.5L×2個)、袋めし×14、インスタント物×10、インスタント味噌汁×8、スティックパン、缶ビール(500ml×3)、缶チューハイ(350ml×2)、三岳ペットボトル大×4、三岳ペットボトル小×2、おつまみ各種、乾き物各種

■縦走服装memo:
帽子(Patagonia サーフブリム)、サングラス(Oakley Latch)、すけすけアンダーTシャツ(finetrack フラッドラッシュスキンメッシュ)、しましま長袖Tシャツ(ポリエステル100%)、ソフトシェル(Haglöfs ボアフード)又はレインジャケット(THE NORTH FACE クライムベリーライトジャケット)、すけすけパンツ(finetrack フラッドラッシュスキンメッシュ)、サポートタイツ(C3fit フォーカスロングタイツ)、ズボン(THE NORTH FACE トレックカーゴパンツ NB81223)、靴下(DARN TOUGH タクティカルT4033エクストラクッション)、登山靴(HANWAG アラスカGTX)、ニット手袋(ミズノ ブレスサーモインナーニットグラブ)

 


屋久島縦走 二日目
3月19日(木曜日)のこと。お天気は朝から雨・・・。とても芳しくない。

 

石塚小屋はかろうじて携帯電話の電波(docomo)が入るので、昨夜から何度もこの日の天気予報をみるもどれもこれも全然芳しくない。しかも風が台風並みにスゴいのが分かって尻込みしてしまうお天気でした。
ボクもヨメも、この天気じゃせっかくの屋久島がもったいないので、“晴天”となっている翌日にかけよう!と覚悟を決め、もう一泊を山中で過ごすことに早々に決めたのです。ところがここで意見が対立。

 

再度、石塚小屋でこのまま停滞するか、少しでも先に進んで『鹿之沢小屋』まで行って停滞するかの2択。ボクとヨメさんの性格の違いが見て取れます。(~_~;)

 

 

意を決し、カッパを着てザックカバーをかけてゴアテックスの手袋もして雨仕様で6時に小屋を出発します。日の出は6時30分と遅くまだ廻りは薄暗い。ヘッドランプを付けての歩行に慣れていないボクらはのろのろ歩きます。

 

雨でつるつるの丸太の橋をのろのろ歩き、激しい雨と真っ白なガスで廻りが見えなくてのろのろ歩いていたら、気がついたら黒味岳分れ(分岐点)まで来てました。もちろん黒味岳へ行っても展望など望めそうもないのでスルーをする。先に進みます。

 

8時ごろ。激しい雨に辟易し、大きな岩の影に隠れて雨宿りを決め込みます。地図を見て確認したら、そこが『投石岩屋』と云うところでした。
ゴアテックスのカッパ上下も、ましてやゴアテックスの手袋もまさに全身水びたし。ゴアテックスの登山靴を履いているはずなのに、ヨメ氏は右足の靴下が濡れてきていると云う始末。「雨が痛かった」と云う大雨の日に屋久島へ来ていた山仲間ちいさんの“blog記事”を思い出して意気消沈。

 

 

でもま、登山道が川のようにはなっていないからまだマシだと言い聞かせ、岩屋を飛び出したのもつかの間で、今度はヤクシマシャクナゲの稜線で暴風雨にひどくやられます。本当に飛ばされるのではないかと思ったものです。ヨメ氏、岩にひっつき虫

 

栗生岳の祠では、本来ならば米と塩と焼酎と海砂を供えるものらしいのですが、この日の祠は風の通り道。翌日の晴天を心のなかでお祈りし、手を合わせて願かけの岳参り。とにかく風と雨がスゴいんです。

 

「雨こそが屋久島の本当の美しさを教えてくれる。」と、雨の恵みを受けていきいきとする屋久島の森のあり方を何かで読んだことがありますが、そんなものは眠っているときにでもやってほしいと切実に願います。雨の屋久島はもう十分に堪能させてもらったので、晴れた屋久島がそろそろ見たいんです。(´Д`)

 

宮之浦岳の山頂で、下山後に泊まる予定としていたエコホテルソラへ、山中でもう一泊するために『宿泊キャンセル』の電話をします。
ごぉーーーっと風の音で聞きづらかったことと思いますが、なんとかこちらからの連絡が通って何よりでした。iPhone、防水で本当に良かったと思う♪ ホテル側の、臨機応変の対応に大感謝。

 

さて、暴風雨の『宮之浦岳』を過ぎたら、30分で“焼野三叉路”に行き着きます。そして左へゆき永田岳方面へ歩を進めます。
もしもこの日このまま目的どおりのルートを歩いていたとしたら、悪天候で真っ白な永田岳もきっとスルーしていたことになっていたであろうし、あとでこの山行を振り返ったとき、なんてもったいないことをしたもんだと大後悔していたかもしれません。そんなことにならないように、この日は“翌日の晴天”を信じて『鹿之沢小屋』へ向かうのです。

 

 


〈ローソク岩展望台からの眺望〉

途中、視界が悪くて見落とした“落とし穴”に片足を取られ、前方へくるりと一回転してしまった。急な坂道での出来事だったので呆気に取られましたが、何より骨折などしなくて良かったなと本当に胸をなでおろしている。もしかして180度開脚の特訓の成果かしら。カラダが柔らかくって助かった♪

 

 

鹿之沢小屋』には13時50分ごろに到着。少し早い気もするが、この日の山行は停滞なのでこれで終いとした。小屋中心部の共有部分に濡れた衣類を全部干して乾かし、三岳のお湯割りをやって冷えたカラダを温めた。

 

この日の小屋の気温も5度。寝袋に入ってダウン上下とダウン靴下を履いてりゃ全く寒くなく、むしろ快適で塩梅よし。

 

水場は小屋裏の沢からじゃぶじゃぶ汲めるから近くて便利でしたが、トイレが遠くてやや難儀した。滑りそうな橋や斜面があるので、きちんと登山靴を履いて行かないと後悔しそうでもう大変。
星が綺麗な夜でした。翌日の山行のお天気に期待大♪(・∀・)

 

■二日目ルート:〔石塚小屋 06:00 → 花之江河 06:45 → 黒味岳分れ 07:10 → 投石岩屋 08:00 → 栗生岳 09:50 → 宮之浦岳 10:20 → 焼野三叉路 10:55 → ローソク岩展望台 13:10 → 鹿之沢小屋 13:50〕

――― 屋久島縦走歩き vol.3へ続く ―――

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