妙高山歩き with 黒沢池ヒュッテ

山小屋『黒沢池ヒュッテ』に泊まってきた話。ついでに、大雨と秋晴れの『妙高山』を歩いてきた話も。9月23日(土)〜24日(日)のこと。

 

先ずは“ついで”の方の話から。
この日も遠征。家を4時に出て一路、燕温泉の駐車場へ向かう。ところが、案内されたナビの通りに進んでゆくと、“この先落石のため全面通行止め”とある。…駐車場は目と鼻の先なのに、しぶしぶ引き返してリスタート。Google先生のバカ〜!!‥でもこれで、Googleナビを鵜呑みにしてはいけない事を学んだ。

 

8時前に駐車場へ到着。信頼する“ヤマテン”では、霧ときどき曇り だったのに、朝から結構な雨が降っていた…。しぶしぶカッパ上下を着込んで、雨の日仕様にスタンバイ。猪熊先生のバカ~!!‥この日は結局、山小屋までずーっと雨だった。

 

さて1日目のルートは、次のように歩いてゆく。
燕温泉 ▷ 北地獄谷分岐 ▷ 麻平 ▷ 大倉沢渡渉 ▷ 燕新道 ▷ 三ツ峰分岐 ▷ 三ツ峰 ▷ 黒沢池ヒュッテ(泊)
燕温泉から“麻平”へは、吊り橋のワイヤーが切れて通行不能となっているため、北地獄谷からぐるっと廻って行かねばならなかった。30分で歩けるところを3hかかるのだ‥涙。

 

何故 燕温泉側からのこんなルートで歩いて行ったかと云うと、妙高山へはピストンルートでゆくのではなく、ぐるっと周回できるコースで歩きたかったから。+帰りに燕温泉“黄金の湯”に入りたかったから。
でも‥これが大失敗。黒沢池ヒュッテでゆっくり呑みながら建物探訪するつもりが、雨山行の影響もあって予想以上に時間がかかってしまった。

 

三ツ峰を経由してゆくコース…、大雨、濃霧、泥濘、藪漕ぎ、渡渉、急登、へつり、無展望‥と、悪路のオンパレードであった。
こんなことなら、王道の笹ヶ峰からのルートにしておけば良かったと思うも、後悔先に立たずである。

 

けれども、こうした悪天候の時にたまには歩いておかないとダメだなと、とても勉強になった山行ではあった。特に、防水対策を怠っていたことには大反省している。
ボクらの山歩きは基本的に雨の日は歩かないから、カッパなどの雨具類は持参はするものの、ほとんど使わないので準備とメンテナンスを怠けていた。

 

ゴアテックスのカッパと登山靴であっても、靴下まで全身びっしょり濡れるほどの大雨では、防水袋に入れたザックの荷物を、さらに厚手の大きなビニール袋に入れるとかして防水対策をしっかりしないと、ザックも中身も同様にびしょ濡れとなる。
ザックカバーだけではほぼ役に立たない。そんな境遇に見舞われたことは、とても良い経験ではあった。

 

さあそして、泊まりたかった1日目の目的地『黒沢池ヒュッテ』へ到着する。16時30分頃のことだった。しかも山小屋へ到着したらなんと晴れていた!!

 

ではここから“本来の目的”の話。
黒沢池ヒュッテは、建築家でそして登山家でもあった『吉阪隆正』氏の設計。氏は他にも、〝雷鳥沢ヒュッテ〟や涸沢ヒュッテ新館の設計でも有名だ。
とても斬新で愛らしい形のこの山小屋は、竣工が1966年ごろとある。今から57年前に建てられていた。

 

特徴的な8本の太いヒノキの丸太と、8角形のドーム屋根を支える丸太で構成された骨組みの模型写真(※吉阪隆正+U研究室|山岳建築)を見ると、イメージしたと云われるように、その形はまるで“きのこ”のようである。どうりで愛らしい訳だ♡

 

この日は運良く8角形ドームの本館に泊まる事ができたので、8時消灯までの少ない時間を有効に使い、ヨメさんと二人してあーだこーだ言いながら、キテレツな吉阪建築に酔いしれていた。

 

 

きのこの傘のような8角形の屋根を、8本の開いた丸太でもって支えているから、高さもあり室内はとても広い。
きのこの軸を象徴するような8本の閉じた太い丸太の中は、2階宿泊室のホールと3階宿泊室の吹き抜けとなり、昇降するための階段と明るい天窓も備えている。

 

8角形の室内空間だから、条件はどこも同じ。暖気も均等に広まっていくだろうし、実によく考えられている。こんな山小屋は見たこともないし泊まったこともない。
さらには、2階も3階も放射状に広がる寝床は、頭が高く足が低くなるように若干の勾配が付いているのだそうだ。
‥ボクはその〝床の傾斜〟の工夫が感じられなかった鈍感なのだが、そんな“疲労回復”の仕掛けが設けられていた事にとてもシビれた。

 

また、この地に渦を巻く地吹雪にも、8角形のドーム屋根は雪に埋もれる事も無く都合が良いのだとか。理にかなっている形状なのだと知り、兎にも角にも素晴らしい山小屋であった。

 

他には、“朝ごはん”と“トイレ”と“3人の愛嬌のあるおじさんスタッフ”が良かった。
肉々しくはないが、晩ごはんはとても素朴で美味しい。でも子供はきっと、甘露煮、里芋、しいたけ、ニンジン、きゅうりの漬物では辛いかも。笑

 

 

感動したのは朝ごはんだった。
ブルーベリージャムと金時豆の2種類の具材を挟んで食べるクレープなのだが、これがもう‥ボリューム満点でとても美味しい♪😍
白飯なら3杯は軽くいけるのに、クレープは3つ半を食べただけでもうお腹いっぱいとなった。たっぷり飲めるコーヒーがまた良い👌

 

トイレはヨメさんがめちゃくちゃ感動していた。
洋式便器でペーパーも流せる水洗便所なので、とても綺麗で匂いも無っしんぐ。男子用の小便器が一つでもあると、トイレは本当に綺麗に使われる👌

 

食事は晩も朝も二部制で、ボクら本館の晩ごはんは 18:15分、朝ごはんは 5:15分からだった。この日の小屋は、本館も別館もものすごい混みようであった。
宿泊費は、一泊2食付きで9500円。缶ビールは一つ600円だった。本館3階の、G31とG32が寝床であった。

 

さて翌朝。やっと妙高山のお話。
身仕度を整えて、黒沢池ヒュッテを6:30分ごろに出発。登山靴もズボンもザックも嫌〜な感じに濡れている‥。半乾きがつらい‥。

 

大雨の翌日は、ヤマテンによると終日快晴の予報。霧予報も傘のマークも出ていない。登山道をがしがし歩いてゆくと、これは間違いないなとホッとする。

 

ものすごい泥濘や、なかなかの岩場を夢中で歩いていたら、あっという間に山頂へ到着した。
『妙高山』北峰、実は初登頂であった!!

 

 

妙高山の南峰へ向かう途中、来年こそたっぷり歩きたい北アルプスの山並みをじっくりと眺めておく。
先日歩いてきた“剱岳”も、来年こそ歩きたい“白馬三山”も格好いい山容でしばらく見惚れていた。

 

妙高山の南峰で大休止。
山頂では、黒沢池ヒュッテで寝床を伴にしたおじさんが云う、「隣の女(ヨメのこと)のイビキがうるさくて全然眠れなかったよ…」という会話を耳にして、大いに笑った。兎に角、強烈だったらしい‥笑。

 

下山路はなかなかスリリングで楽しい山歩きであった。

 

前日は雨と濃霧で全く景色が見られなかったことも、すっかり忘れてしまうような快晴であった。
まさに、“終わり良ければすべて良し”を象徴するかのような、秋晴れの山行だった。山はもう、秋の風が吹いていた。

 

下山路の途中で立ち寄った、落差のある“称明滝と赤倉温泉♨”の源泉が迫力満点で印象的👌
下山後に食べた、燕温泉“大日屋商店”の素朴なラーメンが滅法旨かった。

 

――――――――――

合計距離: 17.57 km
最高点の標高: 2453 m
最低点の標高: 1080 m
累積標高(上り): 1973 m
累積標高(下り): -1952 m
総所要時間: 04:35:37
Download file: 20230923-24track2.gpx

-山歩きと山登り
-

© 2024 bebeDECO