ニューフサジ

剱岳』を歩いてきた先日のこと。
雷鳥沢で、前々から見たかった〝とある施設〟を目の当たりにしたら、大ショックを受けてしまい、しょぼ~んとなった出来事があった‥。

 

それは、建築家“吉阪隆正”氏が設計した『雷鳥沢ヒュッテ』のありさまを見てしまったからである。もう痛々しくて‥見ていられない。あんなにボロボロになっていたとは‥、とても衝撃的で目を見張る光景であった。

 

“吉阪隆正”氏といえば、建築家の他、登山家としても有名。それが関係しているのかどうかは分からないが、この雷鳥沢ヒュッテの他にも、“涸沢ヒュッテ新館”や“黒沢池ヒュッテ”や“野沢温泉ロッヂ”などと、山小屋施設の設計を数多く行っている。いつかは泊まりに行きたいと思っている宿泊施設が多数ある。

その中でもこの“雷鳥沢ヒュッテ”には、泊まってじっくり内観も見てみたかったので、この次このエリアへ再訪する際は是非とも泊まることを考えた山行計画で歩きに訪れたいと思っている。もちろん、今度こそは温泉♨にも入りたい‼

 

ところで山歩きの途中、さまざまな角度から雷鳥沢ヒュッテを観察すると、緩い“アーチ屋根”の上に乗っている階段状の床、トップライトのような出入口、そして手摺の支柱のようなポールが残っていることから、以前は『屋根の上が展望スペース』だったのではないかと想像すると面白い。

 

2023年5月に出版された〝吉阪隆正+U研究室|山岳建築〟という書物によれば、季節風がアーチ状の屋根を通り、積雪で建物が埋まらないように工夫されていることが分かった。
となると、アーチ屋根の上に乗った階段床と上部からの出入口と手すりの設えは、小屋開けする際に必要な構造物のような気もしてきたが、屋根の上から見られる景色には、どんな素晴らしい光景が目に写っていたのだろうと、勝手に想像すると心が躍るのであった。

 

こうした偉人がつくる建物を見て考えるのは本当に面白い!

 

でも‥、優れた大建築家の山岳建築がこんなにぼろぼろだったとは思いもよらなかった。
とても厳しい環境下でさらされていたとはいえ、建物が経年劣化して自然に朽ち果ててゆくスピードが早すぎる。外壁のコンクリートが剥がれ落ち、中の鉄筋が露出しちゃって錆びている。このままでは建物の強度が心配だ‥。

 

早く、誰か、どこかが、修繕してくれることを切実に祈りたい!
弥陀ヶ原の「立山荘」と同じように、早く早く、どこかの誰かさん、改修工事をしてやって欲しいと切実に願うばかり!!

 

またVILLA COUCOU〈ヴィラ・クゥクゥ〉のように、女優・鈴木京香さん、なんとかしれくれないかしら‥。

因みにニューフサジとは、雷鳥沢ヒュッテに名称変更される前の、竣工当時の建物名称のこと。

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