槍ヶ岳縦走山歩〈前編〉

蝶ヶ岳から望む槍ヶ岳
『槍に恋した秋山歩き@蝶ヶ岳~槍ヶ岳「山と野と」へのオマージュ風。ヤッテミタカッタ(笑)』

ボクはドラクエにしてもFFにしても、たくさん闘って経験値を十分に積まないと次のボス戦には臨まないタイプで、どちらかと云えばかなりの慎重派。
それは実は山登りにしても同じことが云えて、地道に渋~い山行で鍛えて経験値を上げてからじゃないと、大きなビッグネームの山にはあまり登りたくは無いと云う気持ちが強い。
ところがそろそろ山登りは五年生となり、いくらかは挑戦したい敵(山)も増えてきて、そろそろ一歩前進してレベルアップできる大きな山に進みたくなった。
そこで今回やっつけて来たのは、富士山の次に誰もが知っているであろう北アルプスの『槍ヶ岳』であるプス。結果的には無事に登頂できたけれども、んもう~ギリギリであるプス。途中で挫けずによくぞ登れたと思っている。
それで、今回の山歩きも色々と楽しくて面白かったことがあるプスだから、また記事として記録しておこうと思う。

9月26日(金)~29日(月)のこと。
先ず今回の山行は色々なことが初めてづくしだった。初の上高地、初の槍ヶ岳、初のビール売り切れに遭遇、そして初の三泊四日の山旅などなど。
個人的には槍ヶ岳を登頂した後に味わう予定でいた祝ビールが売り切れていたことが何よりも感慨深い。これはまさに生き地獄でした。苦笑


さて、一日目の山行⇒さわんど市営第2駐車場(一日500円)⇒沢渡バスターミナル(一人往復2040円)⇒上高地ビジターセンター⇒徳沢⇒長塀尾根⇒長塀山⇒蝶ヶ岳⇒蝶ヶ岳ヒュッテ(テント泊一人700円)まで。

小梨平キャンプ場
『小梨平キャンプ場』

前日の深夜に沢渡の駐車場に入り、のんびり車中泊でもと思っていたが、さわんど市営第2駐車場に着いたのはなんと2時45分。
そこから慌ててビール一缶を飲み干し喉を潤して速攻で寝ようとするも、車外がうるさくて全くの眠れず仕舞い。
しかもジムニーじゃ狭くてやっぱり眠れない。良い教訓になりました。ボクは今後、車中泊はいっさいしないで、早立ち朝立ちに徹しようと思う。
結果、一時間も眠れず意識もうろうとしながら、6時20分のバスに乗り上高地へ入った。
事前に用意してきた登山届けをポストに投函して河童橋まで歩を進め、軽くキャーキャーとおのぼりさん状態。なんせ初の上高地入りだもの、仕方がない。
そしてこれまたいつか訪れてみたかった小梨平のキャンプ場を横目に見ながら、平坦で長~い道のりをどんどこと徳沢まで歩いてゆきます。
徳沢のキャンプ場も綺麗で、ロケーションもバッチリでこれまた興味津々。途中の道には大小さまざまな猿がいて、予想以上に可愛くて程よいショータイムを満喫。

徳澤園
『徳澤園』

長塀尾根
『かなり長くてきつくて険しい長塀尾根の登山道』

長塀尾根
『長塀尾根の心折れる標識・・・。この地点で半分って・・・。涙』

長塀尾根の切り株
『長塀尾根にある切り株。座り心地(眠り心地)は最高!なかなか立てない!』

妖精の池
『サンショウウオしかいないと云われる妖精の池』

徳沢では美味しい水をプラティパスへ給水。ボクが2リットルでヨメさんは1リットル。そして蝶ヶ岳へと続く長塀尾根への登山口に入り、そのキツさにあっという間に涙した。
展望の無い樹林帯の中を重たいザックを担いでひたすら登るんだけど、ここここれが寝不足のカラダにビックリするほどに堪えるのだった。
で、登山道の途中には座るのに丁度良い切り株が幾つもあって、ふと気がつくと知らないうちにそれに座ってしばらく寝込んでいたりと散々な道中。辛くて汲んだ水すら捨てたほど。寝不足は大厳禁だ!(>_<)。ホントに良い教訓。
それでもしばらく頑張って進むと小さな池が幾つかあらわれて、眠気が解消される可愛い奴らがいたのでなんとか持ち堪えた。
おお!なんとそうか、ここは妖精の池か。事前情報通り、本当にサンショウウオしかいないらしい。かなり楽しい♪池の廻りは紅葉も綺麗でした。

長塀尾根のおわり
『長かった長塀尾根のおわり。パッと視界が開ける!槍もココでやっと見えた!』

蝶ヶ岳と蝶ヶ岳ヒュッテ
『蝶ヶ岳と赤い屋根の蝶ヶ岳ヒュッテ。でその向こうに常念岳』

蝶ヶ岳山頂
『蝶ヶ岳山頂』

そうこうして苦労しながら何とか樹林帯を抜けると、目の前がパッと開けて蝶ヶ岳と山小屋が見えてきた。とほほ、やっとである(>_<)
やっとのおもいで一日目の目的地、蝶ヶ岳と蝶ヶ岳ヒュッテのテン場に辿り着いた。この日は平日の金曜日。テン場も空いていて自由気ままに好きなところに張れる。
小屋でテン場の受付をしてビールを数本買ってテント設営前に乾杯三昧したことは云うまでもない。眠さなんて何のその。ビールの旨さがカラダに、そして心に染みました。

蝶ヶ岳ヒュッテ テン場
『蝶ヶ岳ヒュッテのテン場。目の前が雲海だった!』

さて、蝶ヶ岳でお疲れさま~♪とビールで乾杯をしたのは4人。
実は今回の山行は、ボクとヨメさんの他に、山の大先輩であるタビノカミサマのお二人が同行者でした。たまたまスケジュールが合い、しかも双方で考えていた山行計画も一致すると云うことで、最終目的地の槍ヶ岳まで一緒に歩くことにしたのだ。
とはいえ、ボクらはテント泊、チームタビカミの二人は山小屋泊なので、スタート時の足並みを揃えても迷惑をかけるばかりなので、この山行中はずっと、ボクらが2時間程度前に先行して歩き、後で追いつかれると云うスタンスで歩いて来ましたが、これがなかなか予想以上に楽しかった。
歩き出しから足の速い人たちについて行けるはずも無いのだから、十分にウォーミングアップできてから一緒に歩くと云う形は、ボクらにはとても合っていたようだ。
ボクらだけではいつ挫折してもおかしくなかったこの山行も、この先に同行者が待っていると云う槍ヶ岳以外の相乗目的が良かったみたい。

蝶ヶ岳で乾杯
『一日目の乾杯はテン場で!蝶ヶ岳ヒュッテのテン場から見える景色が最高の肴』


そして二日目の山行⇒蝶ヶ岳ヒュッテ⇒蝶槍⇒常念岳⇒常念小屋(お昼)⇒横通岳(巻き道)⇒東天井岳(巻き道)⇒大天荘(テント泊一人700円)⇒大天井岳(スルー・・・~_~;)まで。

槍ヶ岳と穂高連峰のモルゲンロート
『槍ヶ岳と穂高連峰のモルゲンロート』

3時45分起床の5時出立で蝶ヶ岳ヒュッテを歩き始めた。
前日の寝不足を解消するかのように、とりあえずは寝た。寝たけれども一日目の寝不足の影響が尾を引くような感覚が未だ抜けきれてはいなかった。までも足は相当に軽い。軽快。
この日は最後まで同行者のチームタビカミに追いつかれずに目的地まで行けるかな、なんて儚い考えすら思い浮かぶほど。

5時に蝶ヶ岳ヒュッテを歩き始めると云うことは、進む道の右側から登ってくる太陽とその日射しを左側で受けて真っ赤になっている槍ヶ岳と穂高連峰と共に歩くことができるので、朝からもう~大満足の景色が食後のデザートのようでした。

蝶槍
『蝶槍』

常念岳
『大きくて険しい常念岳』

常念岳
『近くに寄るとさらにそのスケールの大きさに唖然。常念岳め』

常念岳山頂からの激下り
『あまりにもデカくて険しい常念岳に驚いて見上げているの画』

常念岳山頂直下
『常念岳山頂直下を必死に登るヨメさん!向こうに富士山と八ヶ岳が見えた。』

常念岳山頂
『常念岳山頂』

さそして、蝶槍で上着を脱ぎ、これからの難関に備えるべく色々とスタンバイ。目の前には大きくて格好いい常念岳が先ずはそびえている。
左側にあるあの尖り山に行くまでには、幾つかの山々をクリアして行かなければならないぞと軽く気合いを入れ、ギュッとポジションも直し、気持ちの良さそうな稜線をスタコラサッサと歩き始めたのだった。
ところがどっこい、常念岳の登りで先ずはヨメさんがグロッキー。どうやら荷が少し重いようだ。優しい言葉をかけ続けながら何とかおだてて常念岳の山頂まで導き小休止。
とココで同行者に追いつかれ今度は4人で常念小屋まで下ることになり慎重に歩を進める。これが激下りで大変驚いた。ザレていて下りづらいしマイッチングだ。

常念小屋のカレーとうどん
『常念小屋のカレーと常念そば』

大天井岳までの登山道
『常念小屋を進んですぐの登り。ボクはここが何よりも辛かったところ。』

常念山脈の稜線
『常念山脈の稜線上に出られてホッとしている画。視線の先には槍ヶ岳。』

常念山脈の稜線
『常念岳からはもうたくさんのアップダウンを繰り返ししながら先に進んだ』

常念山脈の稜線
『ハイマツの畑にはまいっちんぐ。ここの登りがじわじわと足に来て乳酸がマックスに!』


『大天井岳の標識が出てからがこれまた長かった!(>_<)』

槍ヶ岳と小槍
『槍ヶ岳をちらちら見て歩きながらテンションを保つ。お!小槍も見えるじゃん!って』

大天井岳と大天荘
『大天井岳と大天荘とテン場。テン場の真後ろにあるのに登るの忘れた大天井岳!苦笑』

常念小屋ではボクは、矢グルメ姉さんから是非にとオススメされていたカレーを食べた。
想像以上にうんまかった。流石である。(後日談で、実は矢車姉さんが云っていたカレーは大天荘のものだと判明。どうやらボクが勘違いしていたようだが、常念小屋のカレーも間違いなく美味しかった。あしからず)でヨメさんは疲れから食欲不振になり、蕎麦しか食べられないと云う。
仕方が無いので常念小屋からはヨメさんの荷物をほんの少しだけ持ってやることにして、小屋での大きな休憩のあとは大天井岳に向けて目の前の次の山を登った。
ただここで、今度はボクに急ブレーキ(ー ー;)。お昼ごはんを満腹に食べ過ぎてしまったようで、カレーが・・・口から出そうだった(冷や汗)。荷物も重い(涙)。

今度は逆にボクがオラオラオラとヨメさんにせっつかれ急がされ、涙しながらガォ~と気合いで一気に稜線まで登ったのをおぼろげに覚えている。とても辛かった。苦笑
でもここからの稜線歩きが本当に何よりも楽しくて素晴らしかった。この先頑張れたのはこの稜線歩きがあったからと云ってもけっして過言ではないほどに良かったのだ。
大天井岳までは何度も何度もニセの大天井岳があって、何度も何度もその場で心折れそうになったけれども、稜線からの左右の景色があまりにも良かったので、くったくたになりながらも二日目の目的地、大天荘のテン場に無事到着。
なんと一人気合いで歩いていたものだから、ヨメさんの30分前に到着。これで去年の五竜岳の件がチャラになったぞ。

そしてテントを張ってザックを荷解き、一人ビールを呑みまくっている途中である忘れ物をしていることに気が付いたのだが、さすがに10時間20分も歩いたあとは、重い腰がもう上がらなかった ~_~;
ボクもヨメさんも、あ~あ、大天井岳スルーしちゃったよ。苦笑

大天荘テン場
『大天荘のテン場』

それで夜、テントの中では実はヨメさんからギブアップ宣言がちらほらと出てきていた。
今回の槍までの山行計画は3泊4日であったが、槍ヶ岳に行くにはもう一泊どこかヒュッテ西岳あたりで泊まらないと無理かもよ、と。
普段強気のヨメさんからは想像できない言葉である。どおりでビールも呑まずにひたすらカラダを休めることに気遣っていた訳だ。
明日の山行、はてさてどうなるか。ヨメさんの体調復活を強くキボンヌしてボクも寝袋に入って早々に明日に備えることにした。

そうそう、大天荘、すごく良い。小屋の兄さんは皆感じが良いし、ビールも豊富。生ビールの他、プレモルにモルツまで売っていた。
さらに感動したのがトイレがものすごく綺麗だったこと。もちろん洋便。テン場もすごく綺麗で平らで快適だった。

後編〉へ続く。

槍ヶ岳縦走山歩〈前編〉シャシン記ログ

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