北ア 薬師岳歩き〈ケーコ編〉前編

薬師岳は室堂~折立で歩くと決めていた。
北薬師から金作谷カールを眺めたかった。

その念願がやっと叶った。

 

8/17(土)
00:30埼玉を出発、06:30立山第1駐車場着、
雨音が心地よく30分間爆睡、イビキで目を覚ますほど
07:20ケーブルカー&バスで室堂へ

台風7号の影響で霧雨の中スタートする。
天気は午後から回復傾向、そして明日18日明後日19日の好天を信じて。
五色ヶ原キャンプ場は水不足とのことで、各々の行動水2.5㍑ずつ+2㍑汲んでいく。
これ以上は無理だ無理するなと体が言っている。去年の剱岳以来、1年ぶりのテン泊だ。

 

時折、薄い霧の向こうに青空と太陽が顔を出しそうになるものの、そんなのは一瞬ですぐに霧に包まれてしまう。

レインウェアを着れば汗だく、脱げば濡れる、むんむんムレムレも午前中の辛抱だと信じ、じっと我慢の子。

 

一ノ越で昔の思い出話をしながら龍王岳方面へ向かう。一気に人が少なくなる。

 

雲が暴れ出し、切れ間から青空が!

 

振り返って一ノ越方面の山肌が!
なにも見えないと、これだけでも嬉しくて歓声をあげてしまう。

 

つがいの雷鳥

 

富山大学立山研究所あたりから霧雨が雨へと変わり、またカッパ着るのやだなぁとどんよりしてると雷鳥夫婦がつんつくつんつくしながら出てきた。さらにその奥では大きな子供4羽がじゃれ合い追いかけっこをしている。

 

それだけの事なのにテンションが上がり、つい龍王岳にも登ってしまった。百高山やるかもしれないからね(嘘、無理)

 

ウサギギク

 

鬼岳東面

 

オンタデの花盛り

 

ここが残雪時通行注意のトラバースかな

 

黒部湖が見え青空も覗き始めたが、午後には回復どころか、雨はますます本降りになってきた。

獅子岳手前で五色ヶ原山荘に電話する。
「あの~今日テン泊予定だったんですけど素泊まりでお願いできますか?あまりにもずぶ濡れで。2名です。」
「え~あ~何とかします、用意しておきます、あと2~3時間位で着きますね、気を付けてお越しください。」

 

獅子岳山頂
雨上がった?

 

獅子岳で靴下を絞る。

じわっと浸みるを通り越し、ちゃぽんちゃぽんで一歩度に水が出たり入ったりを繰り返してる。
どっか穴あいてるんじゃ?
1週間前に女峰山登ったあとに洗って防水スプレーした時、気づかなかったけどな。

「とりあえず、リセットしよう」
「明日からに備えて全身を乾かそう」
「風呂もあるらしいよ」
「ビールを買いに行く手間も省けるし」

とか適当な理由をつけ、私が小屋泊を決めた。
なんか靴の具合が変で嫌な予感がしていた。

 

チングルマとおじさん

 

コゴメグサ

 

ザラ峠

黙々と歩いていると木道が出できた。

 

木道が出てきたと思ったら、

 

突然、小屋が現れて驚く。

 

五色ヶ原山荘の玄関

 

「雄山」という6畳の部屋を2人で使わせてもらった(素泊まり1人¥9500)
ザックは部屋入口横の廊下に敷かれたビニールシートの上に置くように指示され、濡れた衣類は乾燥室に入れる。
乾燥室にあったロケット型の熱風機が火傷しそうなくらい強力であっという間に乾いた。
靴置場は強風が当たらない場所にあり、明日になってもきっと乾かないだろう。

 

談話室

ビールはキンキンに冷えていて嬉しい限り(350缶¥700)
水ペットボトル500ml¥450(小屋泊者もこれを購入)
テン場の沢水は出ている(8/17時点)
風呂はなかった(そもそも水不足)
トイレは男女別の簡易水洗で綺麗

結局、寝るまで雨は断続的に降り続いていた。

2日目につづく

―――

8/18(日)

「雄山」の部屋からの景色、おはようさん。

 

五色ヶ原でのテン泊をすごく楽しみにしていた。残念だ。

 

なだらかな木道がしばらく続く。
平らで広大な気がするがここは一体どんな場所なのだろう?

環境省のプレートが付いた木道には、斜めで滑りそうな箇所に紙ヤスリの様な滑り止めが付いている。何気ない優しさが身に沁みる。そんな印象しかない。

 

チンの穂(新潟弁)

 

徐々に岩がちになり、アップダウンを繰り返してるようだ。
鳶山に着いた時も、あれ?今そんなに登ったかな?の感覚で疲れもない。

 

鳶山(とんびやま)山頂

 

スロ?兄さん?

 

断片的に山や谷が見えるようになってきた。

 

越中沢岳
初めて視界がひらけた。
こんなところに居たのか!

 

五色小屋が見える。
ここはテン泊で再訪したい。

 

向かう方向がやっと見えた。

 

や、薬師?

 

チングルマの果穂もやっと乾いてきたというのに、私の靴は濡れたままだ。

 

ここは何処ですか?スゴの頭ですか?

 

スゴ乗越でザックを下ろし長めの休憩をとる。
逆ルートから歩いてきたソロのおねーさんもここで休憩をとるようだ。

 

大きな岩に座り、じっくりと靴を見る。
うーん、右足の靴底の周りが1周にわたって剥がれ始めてる。
予感的中というか、浸水の仕方が尋常ではなかったもんなぁ。
こんな事もあろうかと、実は今日ずっとソロリソロリと歩いてたのだ。

そんな会話を耳にしたのかソロのおねーさんが話しかけてきた。
「今日はどちらまでですか?私、スゴの小屋の者で今休憩中でここまで来たのですが。靴はどんな具合ですか?あ、これはちょっと・・・まずいですね。完全に剥がれるかどうかはわからないけれど予防はした方がいいかも。小屋にあるもので何かできると思うんで、後で来てください。」と。
そして足早に去っていった。

 

スゴ乗越小屋

スゴ乗越からスゴ乗越小屋まではあっという間で、まずはテン場の受付を済ませ、ネパールカレーとビールを注文する。
あまり冷えてないけど、ビール500缶(¥1000)があるのは嬉しい。
水はずいぶん遠くの水源から引いているというのに、たった¥100以上の協力金だと。感謝の気持ちは金額で示そう!

 

外のテーブルでカレー待ちをしてると、小屋のおにーさんが来てくれて、「これはヤバイっすね」となり、靴底修理の相談にのってもらう。

 

ネパールカレー(¥1400)
スパイスの効いた手作りカレーで美味しい。

カレーを食べてビールを飲んでる横でおにーさんは靴を直している。
濡れた靴はきっといい匂いを放っていただろう。かたじけない。
ビスをもみ、ボンドで接着された靴は今夜一晩、小屋の下駄箱でゆっくりお休みになることに。

 

小屋のサンダルを借り、テン場に戻ると、なななんと!

テント崩壊の危機か!?
天井が落ちてきてる!?

うちのテントはフライとインナーが一体型のダブルウォールで、フライとインナーは11ヶ所で接続され、フライにインナーが接着でぶらさがっている。
そのてっぺん天井部分の4ヶ所が剥がれたようだ。
ストックを1本真ん中に立て、その場を凌ぐ。
おやすみなさい。

 

3日目~4日目『北ア 薬師岳歩き〈ケーコ編〉後編』につづく

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