左と右と山 〈5〉

IMG_2371-2017s.jpg
左と右と山 〈4〉からの続き。

9月8日
7:00 ♪川の流れのように♪で目を覚ましてしまう。私の目覚ましか!?
5分おきに何度も何度も流れる♪もはや目覚まし時計の役割を果たしていない。
今朝から車椅子でトイレに行って良し!

朝、気持ち悪くて食事を半分しか摂れなかった。珍しい、どうしたんだろう。
「痛み止め(麻薬のようなもの)の点滴を入れっぱなしで、ずっと横になっていたのに、急に起き上がり動き回ったせいで気分が悪くなったのかな、横になってて下さい。」と看護師に言われる。
こういう事があるから手術当日はベッドから降りるのを禁止しているのかもしれないなと思った。

回診、消毒する。「1週間入院して抜糸して退院しましょう。」

リハビリ
右足の爪先を軽く地面に着く程度で松葉杖開始。
マッサージをしてもらい、足首を曲げ角度測定をする。

夜、痛み止めと抗生剤の点滴が終わり、点滴針も抜けてスッキリした。
痛み止めの点滴をするとだるくて眠くてたまらなかった。

IMG_7085-2017s.jpg

9月9日
12:15 回診
主治医お休みにつき、院長による消毒。いつも穏やかで優雅でお洒落な革靴を履いている院長に
「あらぁ~~~きれいに縫われていますね~~~」と褒められる。

15:05 リハビリ
いつも通り、理学療法士が迎えに来て病室から出ようとすると、「熱あるでしょ、計って!」と怖い顔で言われる。
「え?ないですよ、ないない、今、日当たりが良くて体が暑いですけど。」なのに、「熱あったよ!!」と引かない。
どうやら今日の体温の変動をチェックして来たぽい。
そういえば、37.1℃→37.4℃→37.1℃だったような気がするな・・・
平熱が低い私にしては高めか。なんか、プールに入りたくて体温を嘘付いちゃう小学生に返った気分だ。
計ると36.9℃、ホッ。ではリハビリ室へ行こう!と一歩踏み出すと、
「右足!体重かけ過ぎ!!今、普通に歩こうとしたでしょ!!!」と注意される。

今日は細かいぞ、なんだ?主治医の差し金か?移動中も、
「3度目だと思って油断しちゃ駄目だよ。体重はまだ1/3までしかかけちゃ駄目だからね。」
とダメダメダメダメ散々言われる。まあ確かに気の緩みはあるかも、気を付けよう。リハビリ室に着くといつもの優しい歌のお兄さんに戻り、
「足首、今日になって急に曲がるようになりましたね~痛くないですか~大丈夫ですか~」てな調子だ。
マッサージをしてもらい、足首の曲げ伸ばし、角度測定、床に散らしたお手玉を足の指で掴んでカゴに入れたり、床に敷いたタオルを足の指でたぐり寄せたり、き、禁断の体重計飛び石渡りもやったわよ、もう。

♪川の流れのように♪は朝7:00、昼12:00、夕17:00に流れると判明する。

IMG_4628-2017s.jpg

9月10日
9:00 洗髪
不思議と髪を洗っただけで入浴と同等の効果があるような気がするのだが。それ位さっぱりする。

11:05 リハビリ
松葉杖で体重1/2までかけて良し。
昨日と同様に足首の曲げ伸ばし、足の指を使う訓練、親指だけ動かしたり、親指以外の4本指を動かしたり。う、うまく動かん。
併せて、左足も衰えないようにいつものタオル潰しで膝上の筋トレ、左片足スクワット、左片足踵上げをする。

14:00 夫、見舞いに来る
せっかくだから頭の匂いを嗅いでもらう。

前のベッドのお婆ちゃんがバレーボールの試合を観ながら
「皆、背が高いわね~」と言うのが可笑しくて可笑しくて(´∀`)

9月11日
9:00と15:00 リハビリ
片松葉杖で良し。ふくらはぎが右足の方が1cm細い。誤差0.5cmまでが許容範囲だそう。
椅子に座って右足に4kgのおもりを載せて踵上げ、重さが足らず2kg追加して踵上げする。
この1年の間で右足が細くなり、左足が細くなり、また右足が細くなった。
人間の足も微妙なバランスの上に成り立っているんだなぁ。そうそう、突然、
「右足首に捻挫癖はありますか?」と聞かれ、身に覚えがありドキリとする。
テーピングやサポーターで保護したほうがいいかもと言われる。よくわかったな、すごいね。

A8A6B404-C3B6-47C1-BCE7-1877BB842B3D-2017s.jpg

9月12日
朝、消毒ついでに傷口を見させてもらう。手術前には
「前回と全く同じ所を切りますが、金具を除去しづらい場合は前の傷口よりも大きくなるかもしれない。」
と説明を受けた。だが蓋を開けてみると、もとの傷口(※)よりも内側を切り、傷口は上3cm、下3cmの2ヶ所だった。
その間を切られていないのは何故かと聞くと、「傷は小さいほうがいいと思って。今日から松葉杖取ってもいいぞ。」と。
「やったーーー!」(北の国からの蛍ちゃんふうに無邪気に)、「そ、そんなに急がんでもいいからな。」ってどっちよ。
看護師曰く、真ん中を切ってないのは先生の美的センスらしい・・・本当かぁ?(-_-;)

10:00 洗髪してスッキリ

14:50 リハビリ
松葉杖取れる。スクワット、踵上げを病室でもやるように!
片足立ちは足の指ばかりを頼らず、重心を足の中心にずらし、足の裏全体で支えるように!
どうやら指で地面を掴みすぎているようだ。主治医がリハビリ室に来て偉そうにしていた。

IMG_1793-2017s.jpg

9月13日
朝の消毒のあと、主治医と話した。
1月(北横岳)、2月(日光澤温泉赤城山長七郎奥日光庵滝)、3月(蛸テント泊西吾妻中遠見)の山行で感じた痛みについて、
全て山の何処で痛んだのか鮮明に憶えている。
日光澤温泉と庵滝の何処で?と思われるだろうが、ほんの1m、2mの段差を登れはしても簡単には降りられないのである。右足首を様々な方向に動かしてみて少しでも痛くない向きを見つけたり、ステップを切ったりしてその場を凌いだ。
きっと良くない痛みで、無闇に踏み込んではいけないという防衛本能が働いていたのかもしれない。
日光澤温泉では女夫渕Pを出発して2つ目の大きな橋を渡る手前の、長くて急な階段が雪に埋もれて急斜面になっており、マズイ・・・と思う前に山仲間の克ちゃんがステップを切ってくれたのだった。まぁ、“タコ”を切るほうが上手だけどね。
急な下りや段差、トラバースをアイゼンもしくはワカンを装着時に足首がどの様な状態になるのか、身振り手振りを交えて説明した。

IMG_4872-2017s.jpg

先生が、「とらばあす???」と反応すればその都度説明し直した。痛みを我慢して踏み込んでいいのか、凄く不安だった。
「今の状態ならば、痛くても思いっきり足を踏み込んでもいいよ。かさぶたの様なものや癒着している部分が剥がれる時は痛いけど、大丈夫だから。」って、はい、わかりました!

9:30 リハビリ
ふくらはぎの太さ測定の結果、右足がまだ0.8cm細いそう。椅子に座った姿勢で太腿に6キロのおもりを載せて踵上げ。
ベッドに座り、爪先にゴムチューブを引っ掛け、テンションを掛けた状態で足首を前後に動かす。
私からの希望で、キャンプのテント泊に備え、地べたに座る練習もする。コツを掴めばなんてことない。
階段の昇り降りで、右足首は傷口の痛み以外の違和感はないが、“ACLの左膝”には引き続きモヤモヤ感があった。

IMG_6531-2017s.jpg

9月14日
9:00 回診
まず、先生「革はどこに買いに行くんですか?」、私「浅草です。」と意味のない会話をし、半抜糸、消毒をする。
これまでも何度も聞いているが、現在進行系で気になって仕方ないことをしつこく尋ねる。
左足のほうが片足立ちでは安定感があるのに、階段を降りる時に噛み合わせが悪く感じたり、時々、ミシッ、キシッ、コリッとした感覚がするのがどうも気になる。
(新しい靭帯が)膝に馴染むまで違和感があると思うが徐々に慣れてくる、みたいな返答をもらうも、いまいちピンと来ない。
新しい革靴や新しい革のグローブ、新しい革のバッグも体に馴染むまで時間が掛かるのと一緒ってことなのかな。これからも懲りずにまた聞いてみようっと。

13:30 リハビリ
初めましての理学療法士(ちんちくりんメガネ男子)が見かけによらず、がっつり筋トレ派の方で、私もムキになって、疲れてない!痛くない!まだまだイケる!ふりをして大変疲れた。

右隣のベッドのオババに、退院してもリハビリに来なければならないみたいなんだけど、あなたも来るの?
私、カーブスに月15日間通ってるから、それじゃあダメかしら?ここのリハビリ、疲れちゃうのよ。
私の担当の人(なんと、ちんちくりんメガネ男子だった)キツイことさせるのよ。
カーブス、いいわよ~あなたも入ったら~と、誘われる。~_~;

9月15日 退院日
11:00 リハビリ
足首の前後方向への可動域は左右差なし、入院中のおさらいの動きを一通りこなす。
次回からのリハビリはまた“左膝メイン”になると思いますとのこと。

右足関節脱臼骨折・抜釘手術あと

15:00 全抜糸
透明な粘着テープを貼られ、“入浴”のお許しが出る。がしかし、今日はダメで明日からねと仰る。
丸10日間、体を洗っていない。今夜、パーティーがなくて良かったわ♡
看護師に、「セ、センセイ、ちょっと磯部さんの荷物見て下さい!」とチクられる。デカザックで入院しに来ただけだ。
「それ背負って帰るつもりですか?」の看護師の声に先生の眉毛が反応し、眉間に縦皺4本現れてしまう。
「いや、や、ザックの中身の半分は枕ですから、軽いですよ。」と説明するも信じてもらえず、
「山の枕か!?(意味不明)ちょっと持ってみてもいいか!?」と持ち上げ出す始末で、
「思っていたよりも軽かった。」って、ほれほれ、もう勘弁してよ。

てな具合で退院しました。つづく


《右足関節脱臼骨折 抜釘手術後~入院生活~退院》まで

-ACLと骨折

© 2024 bebeDECO