6年前の『槍ヶ岳縦走山行』のこと。上高地から蝶ヶ岳、常念岳と縦走し、東鎌尾根ルートで槍ヶ岳を目指して歩いたとき、あまりにもお疲れちゃんで肝心の“大天井岳”をスルーしてしまったオレのバカ。
先日の『ハイク&呑みキャンプ』でのこと。山談議で盛り上がり、↑上の山行の話をしたら、去年歩いた“オレのルート”どうよ?とスロトレさんが云う。のんびり歩けてたまにはそんなルートも良いのでは?とエロトレさんが云う。中でも興味しんしんになってしまったのは、大天荘で食べた“とんかつ”が絶品だったと云うスロのバカ。
さてそんな↑美味しそうな話を聞いてしまったら、居ても立っても居られない夫婦のボクらなものですから、丁度この“コロナ禍”で苦しめられている山小屋に、“お金を落としてくる”目的を持ってのゆる山行を計画。
普段はテント泊を好んで山を歩いてくるのですが、こんなことになろうとはコロナのバカ。
そんな『三つのバカ』が重なった、9月の13日(日曜)~15日(火曜)の、燕岳と大天井岳を歩いてきた北アルプスでの話です。
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今回の山行は全て“小屋泊”でごはんも全て“小屋で食べる”と決めていましたから、テント泊山行に比べると準備がずいぶんと楽ちんです…。
のはずなのに、実は小屋泊する山行にはあまり慣れておらず、あれ必要これ必要ないと山道具の厳選には時間がかかりました。
さらにこのコロナ禍での山行ですから、行く先の小屋の情報をウェブでしっかり得ておかないとと思い、実はいつもの山行以上に時間がかかりまいっちんぐ。
今回泊まった二つの小屋では共通して、予約者のみを受付し、通常よりも受け入れ人数を少なくして応対し、小屋内ではマスク着用は必須事項で、そこかしこにあるアルコール除菌を毎回使用することがルールとなっていました。
そして受付どきには、事前に記入して持参しなければならない“COVID-19チェックシート”の提出を求められます。
これはこのコロナ禍では致し方ないことなのでもちろん小屋のルールに従いますが、とにかく手間で面倒くさかったのが『マスク着用』による動作。
小屋内では、飲食以外ではマスクを着用するので、飲食したあとや自室で過ごしたあとはすぐにマスクの着用を忘れてしまいます…。そんな点が、なかなかに、面倒でした。
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さて、山行の話です。
13日の日曜日。3時30分に起床し、4時に家を出立。事前情報から、混雑しているであろう中房温泉の駐車場にははなから停めず、麓の“穂高駐車場”を目指しました。7時30分に到着。
予定していた“中房温泉行きの定期バス”は、二便の8時25分発だったので、約一時間も早めに到着する。車の中で朝ごはんを食べ、ゆっくり身支度してもまだまだ時間的余裕があったので“バス停のある穂高駅”へと歩いてゆきます。
すると、穂高駅のタクシーから提案があり、ボクらと同じように早着の登山者二人が居るので、四人で乗り合って中房温泉へ向かってはどうかと云う。ふむ、なかなかの営業上手。
バスなら一人1800円なのだが、四人で乗り合えば一人2100円と云うので、提案を受けて待ち時間無く中房温泉へ向かいます。これは幸先がよい♪
ところがどっこい中房温泉に到着するとどしゃ降りの雨。たまらずにカッパ上下とザックカバーを着衣し、8時30分に歩き始めます。ああ…雨とはついてない…。天気予報ではこの日は終始曇天のはずだったんです。
雨のせいか汗のせいかも分からず全身びしょ濡れになって登る合戦尾根。急登の難易度よりも豪雨に打たれながら歩くのに難儀したものです。
ちょうどお腹が空いた頃、“合戦小屋”に到着します。タイミング良く雨もちょうど止んでくれたんで、外のテーブル席でひと休み。
今回いつもならがつがつ前を歩きパワフルなヨメ氏が何やら絶不調。頭痛や食欲不振などの症状からよくよく考えてみると、どうやら高山病の様子が少し出ているようでした。
なんせ標高の高い山はもう何ヶ月も歩いておりません。合戦小屋まで休憩なしで一気に歩いてきた分、小屋では十二分に休んで体調を調整します。
合戦小屋では名物のスイカを貪り食い、山菜うどんまで平らげます。このとき困ったのが、全てびしょ濡れだったので当然お財布もびしょ濡れで、中に仕舞ってあるお札が濡れてくっついてしまい、なかなか支払えずに超難儀。良い教訓になりました。
ところで…今山行は終始タバコ吸いの“マナーの悪さ”に悩まされました。10年前はボクも超のつくヘビースモーカーでしたから、山の上で吸うタバコの旨さは痛いほどに分かっています。
なので、けっして吸うなとは思ってはいませんが、一服する“場所”と“タイミング”を見計らってほしかった。これからのタバコ吸いたちは、吐き出す煙の行く先と登山者が集まりそうなところでの喫煙は『NG』かと思うんです。
ましてや人がごはんを食べているところにタバコの煙が流れてきては、どんなにロケーションがよくても美味しさが半減です。
合戦小屋で小一時間も休んだら、ヨメ氏の体調もずいぶん復活してきたので、この日の目的地『燕山荘』へとゆっくり歩き始めます。雨が上がってくれたのが幸いし、出だしは快調でした。
ところが山の上に燕山荘が見える休憩ポイントからが遠かった…。この日の宿へ、なかなか辿り着きません。燕岳はお天気が良くなかったので、登頂は翌日へ持ち越しし早々に呑み三昧♪
燕山荘に着いたら、マスクを着用し予約した旨を伝えチェックイン。事前に記入して持参した“COVID-19チェックシート”を提出し、コロナ禍での小屋の過ごし方の注意事項を受け、首元に検温されました。山歩きでカラダを動かしてきたあとの到着だったんで、少し焦ります。
燕山荘では“個室”を借りました。日曜の宿泊でしたので一人13500円と少しだけお得。“安曇野”と云う個室は6帖の部屋で、景色が良くてとても快適でした。感動したのは部屋から朝日が見えること。たまりません。
部屋では、ボクらはお願いされていた寝具のひとつ、シュラフを持参して、直接畳の上に敷いて寝ました。カバーをかけた枕だけは借りて、使用後はカバーは持ち帰ります。
燕山荘の食堂横にある“喫茶サンルーム”では、ヨメと二人で生ビール大会。
ワインや三岳やすだち酎など、口直しのお酒は幾つか持ってきたけれど、この山行では山小屋の“生ビール”をじゃんじゃん呑むと云う目的があったので、こんなにお財布気にせずに呑むビールは久しぶり♡
因みにヨメ氏はサンルームで食べられるケーキ(モンブラン)にお熱だったが、晩ごはん前のため諦めさせた。大変だった…。
サンルームが密になり個室へ退散し呑み直し。
待望の晩ごはんは5時15分から。二回転のうちの一回目。
正直、ずいぶんな登山客がいるなと云うイメージでしたが、間隔の空いた席などを見ると、やっぱり6割程度には収容人数の調整をしているようでした。対面の席にはアクリル板のパーティションが設置され、コロナ禍での苦肉の策も随所に見られます。
晩酌にはまた生ビールを呑りながら、赤沼オーナーのホルンと面白いおしゃべりを聞きながらの食事は18時に〆。おしゃべりが過ぎて10分の延長でした。
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綺麗な朝焼け。
朝ごはんは5時45分から。朝からもりもり食べて、快便。トイレが水洗で綺麗で驚愕した!
売店では畦地梅太郎 山男エプロンの紺色とエンジ色を購入。昔ながらのエプロンとはなかなか珍しい。家で使うことになりそう。1つ1500円と格安だった。
燕山荘をチェックアウト後、空身で“燕岳”へ向かいます。
やっぱり“晴れた日の山”は何においても良いですね。この日の行程は無理なくゆっくりでよかったので、山頂での山時間を大いに楽しみます。
〈燕岳 山頂〉
イルカ岩に軽く感動をするおのぼりさん。
燕山荘のラックに預けたザックを引き取り、身支度を整えて“6年前の忘れ物”を果たしに“大天井岳”へ向かいます。
右に見える槍ヶ岳と穂高連峰を見ながら歩く稜線がとくに素晴らしい。さっさと歩いてしまうのが勿体ないので、ところどころで歩みを遅め、景色をじっくり堪能します。
ところで、槍穂が見える尾根の西側(右側)を歩くには涼しくて快適なのだが、逆に尾根の東側が異常に暑いのだった。上着を脱いだり着たりと忙しい。汗
〈喜作新道〉
〈登り返し〉
喜作新道を経由して槍ヶ岳への分岐点まで歩いてきたら、あとはひと踏ん張り。最後の登りがしんどいが、後ろにそびえる燕岳を見返して英気を養います。
『大天荘』に到着。
そしてそのまま“6年前の忘れ物”を果たしに“大天井岳”へ向かいます。重たいザックを小屋にデポしてくれば良いものを、そんなことも忘れて念願の登頂を果たして山頂で一人ひとしきり堪能中!で感動中!!
―――〈後編へ続く〉―――