乗鞍岳で〝イグルー〟づくりの体験講習会に参加してきたお話。イグルー(雪のブロックを積み上げてつくる簡易的な住居)の第一人者である米山さんから教えを乞う。3月8日㊏のこと。
イグルーづくりに夢中になっている山仲間に影響を受けて、もしイグルーに接することができる講習会があったら教えてねとお願いしていたら、タイミング良く今回のような体験講習会の情報を手に入れた。これはもう行くっきゃない!!
てことで、スノーソーやスコップなどの道具一式を二人分(ヨメさんの分も‥汗)揃え、先生のYouTubeも何度も観て、満を持して乗り込んでいったのは乗鞍岳。
すっきり晴れた空模様ではなかったけれど、イグルーをつくるには最適な塩梅だったように思う。
やまぼうし駐車場から“夢の平クワッドリフト”と“かもしかリフト”を二つ乗り継いでいき、あっという間に標高2000mのエリアへ到着。
スキーを止めて30年。リフトの上ってこんなに寒かったんだっけ~⁇と忘れていることばかり。この日の温かインナーは、ノースフェイスの最強タイツ(エクスペディションホットトラウザーズ)にパタゴニアのR1フーディであったが、じっとしているとハードシェルの下にダウンを着ないと寒いぐらいだった。
リフトTOPでは講習会担当者から点呼を取られ、スノーシューやワカンを履いて、イグルスキー米山さんの後を追い、イグルー設営会場までは歩いてゆく。
会場は雪の多い林の中。
早速 米山さんよりイグルーづくりのデモンストレーションが始まる。
米山さんのイグルーづくりは独特で、1.2m~1.5m角の中心部に30cm深さの〝作業ピット〟をつくり(米山さんはトレンチと云う)、そこから左右に長い雪のブロックを切り出してゆくスタイルで、それらを四角形に前後左右と土台を敷いて、今度は四角錐になるように火打梁をどんどん上へ上へと積み上げてゆく。
だから兎にも角にも作業のスピードが速い!
切り出すブロックも足場の両端にあるから、形の良い長くて大きな雪のブロックがばんばん取れてゆく!
そんな形状でつくられるのを皆は〝米山式イグルー〟と呼んでいた。とにかくイグルーの出来上がりが早くてたったの40分でできるのだ。
典型的な丸いドーム型のイグルーとは違い、長期滞在する目的ではないため、とても理にかなっているイグルーであった。
デモンストレーションが終わると早速 参加者たちが好きなエリアへ散らばって、意気揚々と各自一つのイグルーをつくり始めてゆく。
さて、いざやってみるとこれがなかなかに難しい‥‥。
まずボクはイグルーを設営する敷地の選定に大失敗。谷間を選んでしまったために、一層目はザラメ雪ばかりでしっかりとした雪のブロックが取れなかった。
適地はやはり、少し盛り上がっている平らなところだろうか。
それでも根性で掘り進めてゆくと、二層目の途中からはやっと希望する雪質のブロックが切り出せて作業がはかどるようになっていった。
ブロックの切場も1mほど掘り進めたあとは、横の壁面から取り出す米山式テクニックの〝三角柱ブロック〟の切り出しに精を出す。
何とか形になってゆくボクのイグルー。
中から見ると、隙間から差し込む光が綺麗で美しい。
でも今度はその隙間を塞いでゆく作業をするため、いったん外へ出て慎重に注意深く冷静に‥。
なんせその隙間塞ぎがイグルーづくりの肝心要ではないのかと思うほど重要で、荷重を小さくするために薄く切り出した板状の雪を使って隙間を埋めてゆくのだ。崩れないようにそっと乗せてゆく感じ 笑
初めてのイグルーづくり。
ボクはなんとか2時間程度で形になり、あとは居住スペースを広げるための内装工事と出入口廻りの外構工事だけとなったので、お昼ごはん休憩を挟みながら、仲間のイグルーを敵情視察する。
巨体なイグルーもあれば、綺麗な形のブロックにこだわって積み上げたイグルーもあり、まだ未完のイグルーもあって面白い。
残念ながら、ヨメさんのイグルーはまだ未完だったので途中で少し助け船を出した。
イグルーは大きな雪のブロックを切り出すため、しゃがんだり立ったりノコを入れたり引いたりを繰り返し、取り出したブロックは抱き抱えたり担いだりとまるで全身運動だ。
よって途中から腕に力が入らなくなり、疲れてノコが動かせなくなってスピードダウンした模様。
お昼ごはんは、早々にイグルーをつくり終えた仲間がキノコうどんをつくってくれた。大きく重いバッテリーで温めて持ってきたほかほかの🍙おにぎりまで付いていた♪
夢中でイグルーをつくっていたときは寒さなんて気にもとめなかったんだけれど、カラダを動かさなくなると途端に寒くなる。
そんな雪山でこんな温かいうどんと🍙おにぎりが食べられるだなんて、さすがは西の横綱と歩荷隊長だ。こんなところにカセットコンロをそのまま持ってくるのにも感心する。ごちそうさまでした。
本物のビールが呑みたかったが致し方無い。
食後は、イグルーが完成した人たちで行われた品評会。個性がそれぞれに出ていてとても面白かった。
13時30分になると行程通りひとまず解散し、未完のヨメさんは居残りでイグルーの完成に向けて作業を続けていた。
講師米山さんから手ほどきを受ける。
おかげでヨメさんのイグルーもなんとか完成に至る👌
出入口上の臥梁が太くて大きいのがポイントだとか。
仲間とのイグルー村。
地下で洞道をつくって隣イグルーと繋げたかった!!
出来上がりに安堵し、自分のイグルーの中で感慨にふける。
次はテントなどは持っていかずに、何処かの雪山でボクらだけのイグルーづくりと宿泊に挑戦しようと思っている。雪山イグルー泊にチャレンジしたいのだ。
そんな訳で、この日は勿体ないけれどこのまま下山する運びとなった。
イグルー宿泊組の受講生たちにお別れの挨拶をして、スノーシューを履いてスキー場(つぼ足不可)を下ってゆく。
下山後に泊まった「のりくら温泉郷」の宿『山水館 信濃』の話はまたあとで記録memo。
イグルー講習会の概要は↓下記の様な内容だった。
[参加方法]Peatix(ピーティックス)で参加チケットを購入して申込み
[定 員]先着30人
[参加費]一人2000円(保険代など)※別途リフト代は各自負担
[会 場]Mt.乗鞍スキー場の上部エリア※リフト二本乗り継いでゆく
[集合日時]乗鞍高原第3駐車場(やまぼうし駐車場)に8時30分。※集合後はリフトでイグルー会場まで移動
[主 催]岳都・松本 山岳フォーラム実行委員会
[講 師]イグルスキー米山氏
[行 程]
09:30~|イグルーの作り方講習(講師によるイグルーづくり)
10:30~|参加者によるイグルーづくり(随時講師からアドバイスあり)
12:30~|イグルー内での昼食(昼食用の装備・食材は参加者持参)
13:30頃|解散、以降自由行動(もう1棟作りたい人は自由)
15:00頃|最終終了
[必要装備]
・スノーソー(剪定用などの刃の長さ30センチ以上のノコギリ)
・組み立て式携帯スコップ
・防水手袋(防寒テムレスなど)
・厳冬期の雪山登山時のウェア、靴、装備等※雪まみれになる前提で準備
・昼ごはん、行動食、飲みもの、携帯電話、保険証、その他
・当日イグルーで泊まる場合は宿泊用の装備一式(マット、寝袋、防寒具)及び炊事道具一式(鍋、ストーブ、食器、食料)
などの必要装備一式。
以上、とても有益な講習会を受けられて随分と自信がついた。
YouTubeでイグルスキー米山さんの〝雪山イグルーのつくり方〟動画を観ておくと、何となくできるような気分になるから不思議である。
最高点の標高: 1989 m
最低点の標高: 1564 m
累積標高(上り): 454 m
累積標高(下り): -459 m
総所要時間: 08:05:50