空木岳歩き 前編

9月11日㊐〜13日㊋のこと。前回歩くことができなかった『空木岳(うつぎだけ)』へのリベンジ山行である。
大きな目的は二つ。〝空木岳の登頂〟と〝ピノキオ小屋(檜尾小屋)で呑む〟こと。

 

先ずは〝前回山行〟での話。
空木岳へアタックする予定としていた日、天気の悪さも相まって早々に止めてエスケープルートで下山してしまったのである。でも、その日もしも快晴のお天気だったとしても、目の前に見えていた長~く連なる稜線を一気に歩いて空木岳までゆき、そしてそのまま池山尾根を下ってその日のうちに下山することができただろうか‥と自問した。

 

今のボクらにはきっと無理である。日が暮れてしまう。
ならばと、一泊二日ではなく二泊三日で、しかも逆ルートから歩いてくるのはどうだろうか‥と考えた。
兎にも角にも、木曾殿山荘から空木岳への〝えぐい〟登り返しを歩きたくはなかったので、下りで利用する算段である。

 

ボクの山登りのモットーは、『無理せず楽しんで自然の中を歩くこと』なので、辛い山登りはツライだけであまり好きではない。例えばテント泊は大好きなのであるが、ザックが重たくて辛い行程の場合、あまり悩むこともせずに、小屋泊にしてしまいたいのである。(^^;

 

そんな計画を実行したのが今回の山行です。
ルートは、〖駒ヶ根高原スキー場P(無料)→池山尾根→駒峰ヒュッテ(泊)→空木岳→木曾殿山荘→東川岳→熊沢岳→大滝山→檜尾岳→檜尾小屋(泊)→千畳敷駅(ロープウェイ)→しらび平(バス)→菅の台バスセンター→駒ヶ根高原スキー場P〗と云う二泊三日の行程。

 

これならボクらだって無理なく歩けそう。そうと決まれば先ずは二つの山小屋の予約を取り行った。
空木駒峰ヒュッテ』の予約はメールのみで、『檜尾小屋』の予約は電話のみである。
駒峰ヒュッテの予約はメールなので、万が一の不達の心配などがあったが、とてもレスポンス良く返信メールが返ってきたので次からはもう安心だ。

 

さてここから本題。
―9月11日㊐―
4時起き4時半出。7時45分には駒ヶ根高原スキー場の無料駐車場に到着。身支度を整えて8時に歩き始める。

 

行きは、バスもロープウェイも使わないから双方の運賃二人分4400円も節約できて良いなと思ったが、林道終点の東屋までの山道の蒸し暑いことといったらもう……、苦しくて閉口し、相当ここでバテてしまった。

 

それから、この後の小屋への到着で影響を及ぼすのだが、出発は1時間は遅かったようだ‥。大反省である。7時前には歩き始めていなければならないことを学ぶ。

 

水場。
もっと上の方にあって欲しかったが、池山小屋のそばの水場で水を2ℓ補給する。

 

急にザックがずしりと重くなったが、この日は駒峰ヒュッテの缶ビールをあてにしてアルコールの歩荷は減らしてあるので、命の水を頑張って持ち上げる。

 

標高930mの登山口から額に汗し、2000mほどの標高までぎゅいーんと登る。大袈裟ではなく、ここまでで手ぬぐいを30回は絞っている。あまりの汗なもんで、自分で自分の滝汗をキモいなと感じるほど…。(´Д`)

 

大地獄に小地獄。
岩場地獄で鎖場地獄。

 

んん!!( ఠ_ఠ )
タマゴダケを探して歩いていたら、傘が緑色のきのこに遭遇。初めて見るぞ。なんなんだろう‥これは。

 

なっが~い樹林帯を抜け、空木平避難小屋への分岐を過ぎると、やっと空が見える気持ちの良い稜線に出た。まだまだ遠いが、この日の宿としている駒峰ヒュッテもやっと見えてきた。

 

右側の尾根には、翌日の宿の檜尾小屋も見えている。赤い屋根がちょこんとして可愛い。

 

そう云えば、辛い樹林帯をへろへろで登っている道中、前から来る初老の二人組から「駒峰ヒュッテにはすごく可愛い小屋番さんがいてビールもあるから頑張れ!」と励まされた。
「可愛い小屋番さんにビール」だなんて…、おかげで目の前にニンジンぶら下げて駒峰ヒュッテまで頑張れることとなったのは嬉しい限り。(^^;

 

スケールのデカい駒石で小休止。

 

やっとこさ『空木駒峰ヒュッテ』に到着。
じじいの言っていることは正直なところ話半分で聞いていたのだが、駒峰ヒュッテに居た小屋番さんが本当に可愛くてチャーミングで正直驚いた。😍 ビールも最高に美味しかった♡

 

とは言え、小屋への到着が17時となってしまったため、消灯時間の19時まではあと2時間しか無かったのは想定外。1時間は遅かった‥。
眺めの良いテラスでのんびりといつまでも呑んでいたかったが、ビールを数本一気に喉へ流し込み、晩ごはんの準備に取りかかる。

 

相変わらずの、水捨て無しの楽ちん“日清 焼そば”です。

 

空木駒峰ヒュッテ―――
素泊り小屋で、1泊一人5000円。1階が炊事スペースで、2階が就寝スペースとなっていた。トイレは二ヶ所あり、ひとつは女性専用となっている。洋式便器でどちらもとても綺麗。ヨメ大喜びだ。炊事スペースが広いことと、女性専用のトイレが良かったみたい。

 

寝袋は自分のものを持参。マットも持参していたが、小屋のマットを数枚借りられて、重ねて使えたのでふかふかで寝られ、とても安眠できたのは嬉しい誤算であった。

 

翌日ゆくピノキオ小屋を対岸から眺めながら、外のテラスでしばらく一人で吞んでいたが、酔っ払って崖から落ちると大変なので、20時過ぎには大人しくおひらきとした。
この日は〝中秋の名月〟の翌日だったので、月がまだまだ綺麗に輝く夜だったのは覚えている…。^_^;

 

―9月12日㊊―
5時に起き、可愛い小屋番さんと軽い会話を楽しんだあと、 7時前には山小屋『駒峰ヒュッテ』を出発する。お世話になった小屋番の高橋さんは、南アルプスの『馬の背ヒュッテ』の小屋番とかけ持ちしているとのこと。
ふむ‥これは良いことを聞いた。では次は、馬の背ヒュッテの〝ジビエカレー〟の夕食を目当てに、仙丈ヶ岳を歩くのも面白い。

 

朝焼けた駒峰ヒュッテが目に鮮やか。とても綺麗であった。

 

室内は1階も2階も広くて快適で使いやすかった。また再訪したい。

 

お世話になった駒峰ヒュッテ。
趣があって、とても良い山小屋であった。赤い屋根に乗せた重りの石が良い塩梅。

 

さあやっと、〝空木岳〟の山頂へ到着だ。
リベンジ山行、大成功である。ボクらなりに、楽しんで歩いて来られたのが何よりも良かった♪

 

そして、山頂から見える景色があまりにも美しすぎて、あっち行ったりこっち行ったりと、もったいなくて30分も滞在するのであった。

続く

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