”山賊に始まり山賊焼に終わる山旅”
10/8
「河童食堂」の開店時間に合わせ、上高地に入った。(本当の話)
食堂に一番乗りして、席選びに迷っていると、年配の主人が、
「カウンターの一番奥がオススメですよ。そこにライブカメラが設置されていますから。」
と教えてくれた。
「!!!!!!!!」
山賊定食1680円。
お腹いっぱい胸いっぱい、ごちそうさま
今日は岳沢小屋までだから、そんなにスタミナを付ける必要もないのに、
明日からに備えて頬袋に貯めておくイメージで英気を養った。
岳沢登山口(標高1520m)
鬱蒼とした樹林帯を想像してたけど、南斜面のせいか、全体的に明るい。
慣れ親しんだ奥武蔵~秩父~奥秩父の暗さに比べると、ここは樹林帯なのか???と首を傾げるほどだ。
上高地では青々していた木々が、標高を上げるにつれ、色づき始める。
西穂高展望所(標高1900m)
紅葉のピークはこの辺りだった。
岳沢小屋(標高2170m)
テント泊1人1000円
宿泊者は水無料(テン場の水は出ておらず、小屋入り口前の水場でいただく)
おじさん率、高め
受付を済ませ、テントを張る前に、まずは一杯やろう。
そんな気分にさせるテラスなんだもの。
霞沢岳~乗鞍岳~焼岳を背景に上高地を見下ろし、
やっと私達の短い夏休みが始まった。
岳沢を渡り、重太郎新道に続く道沿いにテントを張り終え、まずは一杯やろう。
そんな気分にさせるテン場なんだもの。
浮かれている私達の横を無言で通り過ぎる下山者たち、皆一様に疲れが顔に出ている。
薄暗くなっても続々と下りてくる。(夕方6時過ぎにヘッデンを点けての方も数名いた)
アタックザックで岳沢小屋からのピストンも考えたが、奥穂へ抜けたほうが良さそうだな。
すだち酎でほろ酔いな夫が、太くて短いソーセージを焼きながら、
「俺、涸沢じゃなくて、岳沢で充分。吊り尾根の向こうの涸沢よりも俺は涸沢の裏が好きだ!」
と、まさかの山旅終了宣言?をし、夕方6時に眠りに就くのであった。
ご機嫌なオッサン
撮ればいいってもんじゃない、もっと真剣に撮ってくれ。
備考
台風一過で暖かく
夫は半袖Tシャツに3シーズン用シュラフ
私は半袖Tシャツに厳冬期用シュラフで、上半身はだけて温度調節
ダウン上下は着用せず
10/9
4時起床、日の出を待ち、5時30分出発
奥穂高山荘までとして、時間に余裕があれば涸沢まで下りる予定
前穂高に隠れていた太陽が徐々に西穂高の尖端を赤く照らし、
何度も何度も振り返り見入ってしまう。いい「いちにち」になりそうだ。あれ?
気を引き締めて行こう。
行動食はドライマンゴー、塩分補給タブレット、ピーナッツチョコレートなど
山での朝食はガッツリ食べる派だったが、なんだかお腹一杯だと体が重く、
足取りも重く感じるようになってきて、最近はコーヒーとスープだけとか、軽めにしている。
足りない分は行動食で補う。
テン泊装備での重太郎新道はCT×1.5の時間をみていた。
自分と相性の良い歩きやすい道で、思いのほか早く紀美子平に着いてしまう。
このぶんだと余裕で涸沢まで下りられるなと思った。
ザックをデポし、前穂高へ。
―――――
前穂高岳 山頂
オカンと2人で来てた、まつおと同じ年頃の男子に撮ってもらった。
「え~あの~その~できるかな~大丈夫かな~」
とモゴモゴして撮るから、夫が何度もダメ出しをする。
ダメ出しされる度にキャッキャッと喜んで、まるで何年か前のまつおを見てるようだった。
山頂から少しだけ槍ヶ岳の方へ進むと、いきなり眼下に広がる涸沢が!写真は無し。
「スゲーーーーー!」「スゴーーーーーイ!」
これしか言葉が出ない。
前穂高の山頂が楽しすぎて、あっち行ったりこっち行ったり、
あんな事したりこんな事したりで、体力消耗したかも。
紀美子平でチョコレートケーキとポテチを食べ、
ザックを背負うと、今まで以上にずっしり重く感じた。
いよいよ私が一番楽しみにしていた吊り尾根に入る。
呑気な夫の開口一番は、
「吊り尾根って尾根歩きじゃないの~?これじゃあ水平歩道じゃん。」
笑うのをこらえて、気を引き締めて、行こう。
ほぼトラバースで、ときどき大きな岩を巻いたり、尾根に上がったりの繰り返しで、
ちょいちょい危なそうな箇所も出てくるが、体力的には決してキツイ道とは思えない。
なのに、急にペースが落ち、ちょっとした登りが身体にこたえる。
あぁ、奥穂、巻けるもんなら巻きたい・・・
見せかけの元気(女優魂)
さっさと下りたい
足が前に出ない
ついて行けない
もう歩きたくない、ないないづくし
〈続く〉