屋台ラーメン 北国

家から最寄りの駅前に、とても美味しい屋台のラーメン屋が出ていることを知ったのは、引っ越してきてから随分と時間が経ってからだった。

 

JR宇都宮線の東大宮駅、東口の駅前エリアに『屋台ラーメン 北国』はあった。
スーパーの西友へ向かう途中、アイン薬局の駐車場で行列している人の集まりがあり、そこで初めて気が付いたのだ。

 

その行列にボクも加わり、しばらく並んで自分の順番がくるまで待っていると、愛嬌があり愛想の良い店主のお父さんが「お帰りなさい、ご苦労さま!」と笑顔で迎えてくれた。
いらっしゃい!‥と云うよく聞くフレーズじゃないところにとても好感が持てた。

 

ヨメさんから頼まれていたスーパーでのお使いなんてすっかりと忘れ、先ずは『醤油ラーメン』を夢中ですすっていた。スープの味も縮れた麺も、とても美味しくて好みのラーメンだった。何より‥、一杯500円のお値段にすんごく驚いた。

 

屋台で食べている客の他に、入れ代わり立ち代わりやってくる常連さんが皆お父さんに声をかけてゆく。すると、「声をかけてくれてありがとう。気をつけて帰ってね~」と返すお父さんとのやり取りがあり、それが妙に心地よい。

 

そもそも‥もう屋台のラーメン屋さんってのが珍しい。しかもこんなに美味しくて今どき一杯500円って‥。なんだか申し訳ない気持ちでいっぱいにさえなる。

 

二杯目は『味噌ラーメン』を食べてみた。
屋台の前の道路わきで並んでいると、前にいた若い女性から珍しく話しかけられて会話が弾んだ。自分らのラーメンができるまでの数十分の時間ではあったが、屋台ラーメン北国に関する話で大いに盛り上がる。作業着の似合う、赤いメッシュの髪の毛の女の子だった。

 

三杯目は『塩ラーメン』を食べてみた。
今度は、どうしても食べたいから連れていけと云うヨメさんを伴ってやってきた。ヨメは醤油ラーメンを注文し、ボクは塩ラーメンを食べることにした。

 

そういえばこのとき、以前お父さんと誰かとの会話で、どのラーメンにするか迷っているのならば、ウチのラーメンは先ずは塩ラーメンにするといいよ‥との会話を思い出したのだが、ヨメがもう醤油ラーメンを頼んだあとのことだったので内緒にした。

 

2023年の営業は木曜日、金曜日、土曜日の三日間。屋台はだいたい20時から始めていたようだ。土曜日だけは18時からと早い。もちろん、お父さんのラーメンを食べるために、時間前から並んでいる人も多数いる。

 

仕事の帰りに、もしくは呑んだ帰りに、こうした美味しいラーメンを屋台で食べられるのはとても嬉しい。今年最後の〆ラーメンを、屋台ラーメン北国で食べることができて何よりだった。来年もまた、お父さんの「お帰りなさい!」を聞きに、ラーメンを食べにゆくことになりそうだ。

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