鳥海山歩き【本編】

ヨメさんが前から熱望していた『鳥海山』を歩いてきた。私も初めて歩く山だ。
8月3日、月曜日のこと。

 

今回の目的は、何と云っても〝お花〟。
鳥海山といえば花の山。
ただ、時期としてはもう少し遅く、花の最盛期は過ぎていたようだ。

それでも、すごかった。

 

登山道のあちらこちらに花が咲き、雪渓が残り、その向こうには海が見える。
岩々しい山頂部があれば、風が抜ける気持ちの良い稜線もある。

歩いているうちに景色がくるくる変わる。

 

何となく、北海道の山や離島の山を歩いたときに感じた、あの独特な雰囲気に似ていた。
いやはや。鳥海山、とても良い山だった。

 

今回は現地でお天気待ちしてからの山歩き。
せっかく埼玉大宮から遥々向かうのだから、できれば晴れの日に歩きたい。
ただし、ものすごく遠い‥‥。

なので前日から寄り道しつつ、鳥海山の麓までゆっくり移動した。
そのあたりのお話は『+α番外編【鳥海山歩き】』にて記録memo。

 

そして前夜は、登山口となる〝鉾立5合目駐車場〟で車中泊した。
夜中、トイレに起きて外へ出てみれば、頭上には綺麗な星空が広がっていた。
これは期待できそうだ。

そして朝から快調快便。
こちらのコンディションも、すこぶるよろしい。

 

歩いてきたルートは、
鉾立5合目P→賽の河原→御浜小屋→鳥海湖→御田ヶ原→八丁坂→七五三掛しめかけ→[外輪山・千蛇谷分岐せんじゃだにぶんき]→山頂御室小屋→鳥海山(新山しんざん)→新山・外輪分岐→七高山しちこうさん行者岳ぎょうじゃだけ伏拝岳ふしおがみだけ文珠岳もんじゅだけ→[外輪山・千蛇谷分岐]→戻りは鉾立5合目Pまでピストン。
という一般的な周回ルート。

距離15.5km。標高差は約1400m。かかった時間は、休憩込みで9時間15分だった。

 

鉾立Pから歩き出すと、早朝5時から太陽が燦々と照りつける。

 

眩しい。

 

とにかく眩しい。

 

この日の鳥海山歩きは、サングラス必須であった。

 

序盤の登山道はとても歩きやすい。
高度を上げてゆくにつれて展望も広がり、やがて鳥海湖へ。

 

ここでひと息。

青い空の下に広がる鳥海湖を眺めながら、これから向かう山の奥を見つめる。
まだまだ先は長い。

 

この道が、ほんと~に歩きやすい。

 

ところどころでガスが流れてきた。

 

晴れた景色ももちろん良いのだけれど、鳥海山へは、このガスが実に良かった。

山肌をすーっと這うように流れてゆくガスは、どこか神々しい。
そして何より、涼しい。

 

灼熱の太陽に炙られている身としては、この天然クーラーがありがたい。
雪渓へ出れば、さらにひんやり。

 

暑い。
涼しい。
暑い。
涼しい。
そんなことを繰り返しながら、山頂を目指してゆく。

 

ところが。
鳥海山直下〝山頂御室小屋〟が見えてからが、意外と長かった。

見えているのになかなか着かない。
これが地味にしんどい。

 

ようやくたどり着いた山頂御室小屋では、たまらずアイス休憩♪

 

そして目に飛び込んできたのが、〝生ビール〟のノボリ。
ううむ‥‥。
ものすごく心惹かれる。
けれど、これから登る新山までは、鳥海山歩きの核心部ともいえる岩場が待っている。
ここで呑んだらいかん。

泣く泣く我慢した。
我ながら大人になったものである。すでにじじいなんだけれども‥。

 

そう云えば‥ザックを新調した。

今度のは、軽くてフレームが入っていて防水でウエストハーネスもしっかりサポートしてくれる、ハイパーライトマウンテンギアのザック〝ウィンドライダー 40L〟というものも。
まだ取り扱いに慣れないけれど、外のメッシュポケットが便利で逸材。背負いやすくて塩梅良し👌

 

御室小屋周辺では、鳥海山の固有種〝チョウカイフスマ〟がそこら中に咲いていた。

一輪二輪という可愛らしいものではない。
束。いや、ブーケ。
岩の隙間という隙間から、小さな白い花がわさわさと顔を出している。
これが実に綺麗だった。

 

そして、いよいよ鳥海山の山頂〝新山〟へ。

 

ここからはストックを仕舞う。
両手両足を使い、大きな岩をよじ登ってゆく。

 

切れ落ちた箇所もあり、気は抜けない。
でも危険ではあるけれど、これが楽しい。

 

岩を登って、ちょっと安全なところでひと息ついて、また岩を登る。
そしてまた休む。

 

そんなことを繰り返しながら、少しずつてっぺんへ。

 

やがて、鳥海山〝新山〟標高2236m。
登頂。

 

山頂は驚くほど狭い。
そして周囲は切れ落ちているので、なかなかの高度感だ。
けれど景色は素晴らしい。

ぐるり360度のパノラマビュー。
実に気持ちが良い。

 

ただし、続々と登山者がやってくる。
山頂標識の前では順番待ち。

我々も写真を撮り、次の方に撮ってもらった。
あとで写真を確認してみると、水平じゃなかったり、指が入っていたり‥‥。
まあ、これも山頂写真の味ということにしておこう。笑

 

狭い山頂を独占するわけにもいかない。
景色をしっかり目に焼きつけたら、長居は無用。
今度は岩場を慎重に下ってゆく。

 

下山側も気は抜けない。

 

狭い〝胎内くぐり〟を抜け、大岩の間をすり抜けながら高度を下げる。

 

新山登頂を終えたら、それで鳥海山歩きはおしまいではない。
今度は対岸にそびえる外輪山へ。

 

〝七高山〟を目指す。

 

このあたりも、お花が素晴らしかった。

 

チョウカイフスマの群生。
ホソバイワベンケイの群生。
イワブクロ。
ハクサンシャジン。

 

そして今年は北飯豊の山行を中止してしまったため、まだ見ることができていなかった〝ハクサンイチゲ〟にも会えた。
花の最盛期には間に合わなかったけれど、それでもこれだけ咲いている。

なるほど。
ヨメさんが歩きたがっていた訳だ。

 

七高山からは、
行者岳、
伏拝岳、
文珠岳の順に、外輪山の稜線を歩く。

 

この稜線歩きが、また良かった。

 

雲海の上では、ものすごい数のトンボが飛び回っていた。

 

そして稜線から見下ろす景色が、とにかく美しい。

 

眼下には街並み。
その先には海。

 

振り返れば、さっきまで登っていた荒々しい新山。

 

足元には花が咲き、ところどころに雪渓が残る。
高度感のある稜線を、海を眺めながら下ってゆく。

こんな景色は、なかなか無い。
何度も立ち止まっては振り返る。

 

名残惜しいが、これで稜線も見納めだ。
御田ヶ原を経て、再び御浜小屋へ。

 

鳥海湖まで戻ってくると、ようやく気持ちも少し軽くなった。
あとは鉾立へ戻るだけ。

 

山頂直下の岩場こそ緊張を強いられたけれど、それ以外は本当に歩きやすい登山道だった。

15.5km、標高差約1400m。
数字だけを見れば、それなりに歩きごたえのある山行なのだけれど、次々に景色が変わるから飽きることなく歩いてこられた。

海が見える。
雪渓がある。
お花が咲いている。
気持ちの良い稜線がある。

 

そして最後には、荒々しい岩の山頂が待っている。
〝鳥海山〟という一つの山の中に、いろいろな山の表情が詰め込まれていた。

仲間からは、「秋の鳥海山もいいよ」
と聞いている。
そんなこと云われたら、また来なくちゃならないじゃないか。
遠いんだけどなぁ‥‥。

 

無事、鉾立まで戻って山歩きは終了。

 

最後は〝稲倉山荘〟でノンアルコールビールを開け、乾杯♪
これがもう、カラダに沁みること沁みること。

見どころあり。
歩きごたえあり。
景色あり。
お花あり。
岩場あり。
ヨメさん待望の鳥海山は、期待以上に楽しい山歩きとなった。

 

ただし。
鳥海山歩きには、最後にもう一つ大きな難所が残されている。
〝埼玉までの運転〟である。
下山後、そのまま一気に自宅まで帰ることにした。
さすがに全部一人ではしんどいので、ヨメさんにも200kmほど運転を手伝ってもらった。
これは実にありがたい。
最近では、一人でエブリイを運転して近所のスーパーへ買い物にも行けるようになった。
もうそろそろ、〝ペーパードライバー〟の看板は外しても良さそうだ。

22時前には、おかげで無事、埼玉まで帰還。
走行距離は、往復1065km。
山歩きよりも、最後の運転の方がしんどかったような気がしないでもない‥‥。

 

ともあれ。遥々やってきて良かった。
ヨメさん待望の〝お花のお山〟鳥海山。
次は花盛りか。
それとも秋か。
遠い遠いと云いながら、きっとまた来るのである。

ちなみに、鳥海山の登山道を整備している方(元埼玉県人)と途中で少しお話をしたところ、「岩牡蠣なら、象潟の『あきた商店』がダントツで美味しいよ!」との有力情報をいただいた。
イートインなら、そのあきた商店がやっている『おさかな処どうらく』で食べられるらしい。
しかし‥‥時すでに遅し。ボクらはもう、とっくに道の駅象潟で岩牡蠣を食べたあとだった。
この情報を聞いて、ヨメさんが非常に残念がっていたことは、言うまでもない。笑

―― ― ― ―

合計距離: 15.75 km
最高点の標高: 2228 m
最低点の標高: 1151 m
累積標高(上り): 1440 m
累積標高(下り): -1433 m
総所要時間: 09:15:51
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