
「7泊8日車中泊の東北旅」の間に歩いた、岩木山の話。
終日快晴。されど終日暴風だった、5月6日水曜日のこと。

前夜は、「道の駅津軽白神ビーチにしめや」前にある白神山地ビジターセンターPにて車中泊。

近くの「しらかみの湯」に浸かり、日本酒〝白神〟を呑みながら、麓から眺める岩木山にすっかり気分が良くなってしまい、この日はついつい深酒をしてしまった。

そんな前泊地での話はさておき、翌朝は〝津軽岩木スカイライン〟を走り、一気に八合目へ。8時、料金ゲートで軽自動車1700円を支払う。
前日は、なんとその津軽岩木スカイラインが雪で通行止め。そして当日は、八合目からのリフトが強風で運休となっていた。

降雪に強風と、なんとも芳しくない天候続きではあったが、この日は〝どのつく快晴〟なのが実に悩ましい。
たとえ風が強かろうが、山道が険しかろうが、藪を漕ぐことになろうが、これは行かねばならない。
なんせ前日の「八甲田山歩き」が真っ白けだったものだから、なんとしてでも青空の下を歩きたい気持ちでいっぱいだったのだ。

さて、岩木山八合目駐車場。8時40分。
料金所ゲートの係員さんに注意喚起された通り、駐車場からもう、とんでもない風。我ら〝でぶでぶコンビ〟ですら飛ばされそうな勢いである。

12本爪アイゼンは、初っ端から装着。

前夜、この日歩くコースを調べてみると、リフト沿いを進むより、急斜面をトラバース気味に登ってゆくほうが効率が良いらしい。
そんなわけで、この日もまた、先行者のトレースとヤマレコの足跡を頼りに歩いてゆく。

ところが、途中で先行者のトレースが途切れてしまった。
そこで、もう一方の長く続くトレースへ軌道修正し、何気なく辿っていったところ――

「ん? こ、これは!!」
となり、思わず慌てふためく。( ꒪Д꒪)白目

なんと、知らずに追いかけていたそのトレース、熊の足跡だったのである。

しかも、我々の進む方向と熊の進路がまったく同じ。
先の様子に目を凝らし、「頼むから鉢合わせだけは勘弁してくれ…」と願いながら歩くのは、なかなかに神経を使う。

すると今度は、ヨメさんの後ろから黒い影がひょっこり現れ、こちらへ近づいてくる。
熊ではない。
よく見ると、前日の八甲田山で我々の前を歩いていた、“半袖Tシャツくん”だった。奇遇である。

しかも聞けば、前夜の車中泊地まで同じ「道の駅津軽白神ビーチにしめや」。
なんだか急に、他人とは思えなくなるから不思議だ笑

そのまま急登を登り続け、岩木山九合目分岐へ。
雪が切れたところでアイゼンを外し、やっと歩きやすくなる。

暴風に煽られながら危険な岩場をやり過ごし――

再び雪の残る山頂標識付近でも風に叩かれ――

鳳鳴ヒュッテ前の鐘を鳴らして気合いを入れ、暴風の中へ突撃し――

山頂直下の急な岩場をよじ登ってゆくと――

身体ごと吹き飛ばされそうな暴風の中、10時20分、標高1625mの『岩木山』山頂へ到着した👌

しかし貧乏性なもので、こんな晴天の山頂をすぐ下りるのは実にもったいない。
暴風に耐えながら、山頂をうろうろ、うろうろ。

それにしても景色が素晴らしい。

前日の八甲田山も、こんな空を見せてほしかった。

遠く白神山地を眺めながら、「いつかあちらも歩いてみたいなぁ」と思う。

翌日は、鳥海山の鉾立五合目駐車場へ向かう予定。
東北旅は、まだまだ続く。

さて、名残惜しいが下山開始。
山頂では、“半袖Tシャツくん”に加え、酸ヶ湯公共駐車場で隣だった“アトレーカップルハイカー”とも再会し、不思議な縁に笑みが絶えなかった。

下山は、風に飛ばされないよう慎重に。

「右回り→」のルールも、一応ちゃんと守りながら下ってゆく。

下山路から海まで見渡せる景色だなんて、なんとも贅沢である。

ピストンルートで戻るため、途中で再びアイゼンを装着。

重たい装備ではあるが、こうした急斜面では、やはり安心感がまるで違う。

今回はアイゼンとストックだけで歩いてしまったが、この時期の岩木山は、ピッケルがあっても良かったかもしれない。足元がチェーンスパイスでは、やや不安である。

たった3時間ほどの山歩きで、雪山、暴風、快晴、そして熊。
岩木山は、なかなかどうして忙しい山だった。

だが、その全部をひっくるめて実に面白かった。
強烈に印象へ残る山歩きとなった。
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最高点の標高: 1625 m
最低点の標高: 1250 m
累積標高(上り): 392 m
累積標高(下り): -392 m
総所要時間: 02:49:52