近所に、実にうまいパン屋がある。
店の名は〝ぶーるローカルフード〟
地元密着型の店舗で、営業日は週に一度、土曜の15時から17時までのたった二時間だけ。
だが、そこのパンが、滅法旨いのである。
予約していなければ、まず手に入らない。
開店と同時に店頭に並ぶパンもあるにはあるが、それらは奇跡のような“キャンセル分”や“気まぐれの焼き増し”。運が良ければ出会える、幻のパンなのだ。
予約方法は、電話の他、InstagramのDM、Eメールが主な手法。なんとも時代を反映している。
この店を知ったのは、引っ越してきたばかりのある日。
近所をふらりと散歩していたら、自転車に乗ったご近所のおばちゃんが颯爽と現れ、「ちょっとこれ、食べてみて!美味しいから!」と、ベーグルをふたつ手渡してくれた。
あのときの驚きと感激は、いま思い出しても心がほころぶ。
ぶーるのパンは、基本の食パン一本と数種類のベーグルに、時節のおやつとピザを詰め合わせた“おまかせセット”が主力。
内容は、食パンが一本、ベーグルが四つ、カットピザが二つ、そしてシフォンケーキやスコーンなどのおやつが入って、2025年現在はこれで2160円ぽっきり。
我が家では、夫婦そろってこのパン屋の大ファンである。
これまでいろんなパンを食べてきたけれど、いまのところ、ここのパンが一番好きだ。
もちろん、お金を出せば美味しいパンはいくらでもあるだろう。でも、日々の食卓に並べるパンとして、一つ500円の高級パンは気が引ける。
その点、ぶーるのベーグルは一つ200円前後。
手頃な価格で、しかも驚くほどうまい。毎日だって食べたい。いや、食べている。
なにより、焼きたての美味さが格別なのだ。
買って帰ってきたパンは、珈琲を淹れる間も待てず、思わずその場でかじってしまうほど笑
おやつをつまみながら午後のひとときを過ごし、夜にはワインとともにベーグルとピザでささやかな宴を開く――そんなたまの週末が、気が付いたら我が家の定番となっていた。
最近では、宅配サービスも始めたようで、その名も“ベーグル宅配便”というらしい。
正直、あまり教えたくはない店ではあるけれど‥人気が広がるのは、それだけ美味しさが認められるということ。
それならそれで嬉しいじゃないか…と、珈琲を飲みながら今日もまた、ぶーるのパンを頬張るのだ。